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2016年5月27日

「東アジアと環日本海の大気・海洋環境」に関するワークショップの開催報告

金沢大学・環日本海域環境研究センターとの連携・協力に向けて

金沢大学・環日本海域環境研究センターと国立環境研究所・地域環境研究センターは、東アジアを中心とした地域環境問題の解決に資することを目的として、連携・協力に関する協定を結びます。それに先立ち、それぞれのセンターの研究について相互に理解を深めることを目的として、平成28年5月24日に国立環境研究所にてワークショップを開催しました。

金沢大学からは早川前センター長、長尾センター長、鈴木教授の3名、国立環境研究所からは今井センター長、高見副センター長、越川室長の3名が研究内容を発表しました。

冒頭、国立環境研究所の住理事長の挨拶があり、続いて長尾センター長からワークショップの趣旨説明がありました。そのあと、早川前センター長からは環日本海域環境研究センターの、今井センター長からは地域環境研究センターの概要が紹介されました。

大気分野の講演では、早川前センター長から多環芳香族炭化水素(PAH: Polycyclic Aromatic Hydrocarbon、NPAH: NitroPolycyclic Aromatic Hydrocarbon)の分析方法とその長期観測に基づく越境大気汚染の評価、発生源の推定などの説明があり、高見副センター長からは、長崎福江、沖縄辺戸などでのエアロゾル質量分析計を用いた越境大気汚染の評価、長期観測データと中国の二酸化硫黄などの排出の関連についての説明がありました。海洋分野では、鈴木教授から、魚の鱗(うろこ)を使ったバイオアッセイとそれを用いた海洋中に含まれるPAH、NPAHの高感度分析の説明があり、越川室長からは、長江流域から河川を通じて東シナ海に排出される窒素、リンなどの栄養塩が、海洋生物(プランクトン)の生態に及ぼす影響についての説明がありました。また、長尾センター長から統合環境研究の説明があり、熊木川流域を対象とした上流から下流に至る流域圏に加え、さらには、湾内での漁業なども含めた統合的な環境変化の研究について紹介がありました。最後に原澤理事から、国内の成果の最大化に向けて連携・協力を進めるという趣旨の挨拶がありました。

ワークショップの後、協定書締結に向けての準備や、具体的な共同研究の提案などが進められました。今後、連携・協力を積極的に行っていく予定です。

ワークショップ中の会場の様子

地域環境研究センター 副センター長 高見昭憲