「環境中の『ホルモン様化学物質』の生殖・発生影響に関する研究」の全体構成
本研究は以下の2課題に沿って実施されました。環境ホルモンとしてダイオキシンを取り上げ,もっとも毒性の強い2、3、7、8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)を実験に用い,平成9年度から11年度にかけて実施しました。
(p4-p10では(1)について取り上げています)
課題1 定量的リスク評価のための環境中のホルモン様化学物質の生殖・発生影響に関する実験的研究
(1)TCDDの生殖・発生に及ぼす影響
ラットを用いてTCDDの妊娠期曝露による,(a)胎盤機能への影響(b)子の雄性生殖機能への影響(c)甲状腺ホルモンへの影響(d)免疫系への影響—を検討しました。さらに(e)用量−反応関係,母親から子への移行動態を明らかにするためにTCDD投与動物,出生子のダイオキシン濃度を測定しました。
(2)TCDDの作用の機作に関する研究
(a)TCDDの毒性発現機序におけるプロテインキナーゼの関与(b)妊娠期TCDD投与ラットの子の脳におけるホルモン,ホルモンレセプター,ホルモン代謝酵素への影響(c)卵巣摘出ラットにおけるTCDDとエストロジェンの相互作用(d)ダイオキシンの毒性と分子構造・電子状態の相関に関する研究を行いました。
課題2 環境中のホルモン様化学物質のスクリーニング手法及び曝露量の推定に関する研究
(1)スクリーニング手法の検討
生殖器官由来の細胞株におけるTCDDと性ホルモンとの相互作用を検討しました。
(2)ダイオキシンの曝露とそれによる健康影響
大学病院の産婦人科と協力し,子宮内膜症患者の脂肪組織,乏精子症患者の血中のダイオキシン濃度を測定し,症状の程度との関連を検討しました。
この研究は平成9年度から11年度にかけて以下の組織・スタッフにより実施されました。
研究担当者
地域環境研究グループ
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米元純三,曽根秀子,高木博夫,NR.JANA,S.SARKAR,兜 真徳,森田昌敏
環境健康部
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大迫誠一郎,石村隆太,宮原裕一,青木康展,松本理,野原恵子,藤巻秀和,九十九伸一,西村典子,石塚真由美,坂上元栄,黒沢修一,遠山千春
化学環境部
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藤井敏博
客員研究員
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堤 治(東京大学医学部),塩田邦郎(東京大学農学部),後藤佐多良(東邦大学薬学部),常磐広明(立教大学理学部)