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VOC - 揮発性有機化合物による都市大気汚染

環境儀 NO.5

若松伸司
VOC研究による新しい知見は浮遊粒子状物質の解明に大きな力となるはずです。

 中央環境審議会は2002年4月16日「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第五次答申)」をまとめ,環境大臣に答申しました。ディーゼル車を始めとした自動車の排出ガス低減対策の新長期目標値やその達成時期,排出ガス試験モードの変更などが主な内容ですが,一方,今回初めて自動車やガソリンスタンドから出る燃料蒸発ガスの対策も盛り込まれました。

 燃料蒸発ガス中にはさまざまな揮発性有機化合物(VOC)が含まれています。VOCは,光化学大気汚染の主要原因物質であり,最近では有害大気汚染物質,また光化学反応でPM2.5を生成するなどの面で注目を集めています。

 国立環境研究所では,ガス状物質を中心とした都市大気汚染の研究に20年以上継続的に取り組み,とくにVOCに関しては光化学大気汚染研究の集大成と,PM2.5・DEP研究へのステップとして位置づけています。本号では平成10~12年にかけて行われた特別研究「都市域におけるVOCの動態解明と大気質に及ぼす影響評価に関する研究」を取り上げ,その中でもVOC発生源と自動車の寄与およびトンネル調査の結果を中心に紹介します。