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2014年9月30日

環境疫学を知ろう!1環境疫学とは

コラム1

環境疫学とは

 疫学は、人の集団における健康に関わる事象の頻度と分布、およびそれらに影響を与える要因を調べて、両者の関連性を検討して、人の集団における健康問題に対する予防や対策に役立てるための学問です(図1)。

図1
図1 環境疫学の対象

 それらの要因には、遺伝要因とさまざまな生活習慣などの「人」に関わる要因と社会的環境、生物学的環境(ウイルス、細菌など)、物理化学的環境(温熱、空気、水、光、音、放射線など)があります。疫学では、遺伝要因以外の要因をすべて「環境要因」と呼ぶ場合があり、その場合には、喫煙、食事などの生活習慣も「環境要因」の一種になります。環境疫学でターゲットとする「環境要因」は、個人ではその要因への曝露を制御できなかったり、制御することが非常に困難な要因です。

 例えば、喫煙は多くの疾病の発症に関与するなど最も重大な要因です。個人の判断で行う喫煙の健康影響に関する疫学研究は基本的に環境疫学の範疇には入りませんが、他人の喫煙による受動喫煙や間接喫煙など、環境中のタバコ煙への曝露による健康影響に関する疫学研究は、まさしく環境疫学の領域です。

 大気汚染物質への曝露を避けるために、マスクをする、外出を控えるなどの行動をとることはできますが、個人が大気汚染物質の発生源を直接制御することはできませんし、光化学オキシダントの生成を止めることもできません。

 環境疫学の対象は、個人が制御できない環境要因になるので、もしその要因によって健康が損なわれたり、疾病が発生したりする場合の対策は、個人に委ねられるものではなく、公的な取り組みが必要です。大気汚染物質への曝露による健康影響に関する疫学研究は、環境疫学研究の典型例です。疫学研究によって、大気汚染物質の 健康影響が明らかとなり、公衆衛生上大きな問題であると判断されれば、その曝露を低減するために、環境基準の設定など公的な取り組みが必要となります。

 一方、環境汚染に対する対策がある程度進んだ先進国では、環境疫学の対象となり得る環境要因は数多く存在するものの、人々の健康に対する一つ一つの環境要因の影響はそれほど大きくないと推測されます。そのため、環境疫学では、小さな健康リスクを扱うことになり、その評価を行うために、多くの対象者について、さまざまな要因を測定するような大規模調査の必要性が高まることになります。

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