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2020年3月27日

「環境カフェ」の手法(開催手順)

コラム1

「問いかけ」と「回答」の例(図)
図1 「問いかけ」と「回答」の例
「R. カーソン『沈黙の春』を通して化学物質を考える」をテーマに2019年10月20日、つくば総合インフォメーションセンター交流サロンで「第17回環境カフェつくば」の開催時に用いた付箋紙の例(左)とベン図(右)

 「環境カフェ」の開催における市民の参加からその後の過程は、開催前の認知から興味・関心、開催時の理解・共感、その後の日常生活の中での(自主的)判断・行動と表すことができます。まず、「環境カフェ」の開催(日時や場所、テーマ)について認知を促すために、開催前にFacebookやTwitterなどのSNSに開催の情報を掲示します。そして、認知された環境に関するテーマに興味・関心をもった市民が参加します。そこで、大学や公共のカフェなどを利用して、全体で60~90分程度、4~8名の高校生や大学生、院生、一般市民やNPO会員など社会人の参加により「問いかけ」→「回答」→(類型化)→「対話」の手順で開催します。

 開催時には、参加者全員が対等な立場で対話を通じてともに「学ぶ」「考える」きっかけ作りのために、参加者はテーマに関する「問いかけ」についてそのイメージや興味・関心の単語(言葉)を各人3~5枚程度の大きめの付箋紙に記入します(回答)。テーマに応じて2つ~3つ程度の類型(「生活」「地域」「地球」や「自然」「社会」「文化」、「自然」「社会」「生命」など)に分け、それらの関係を図式化したもの(ベン図)を用いて、それぞれの単語(回答)の当てはまるベン図の部分(番号)を付箋紙に記入します(図1)。

 さらに類型ごとに付箋紙を整理して、各人の類型化された単語(回答)に関するみずからの経験(感じたこと、知ったこと、考えたこと)を公平にたずねあうこと(対話)で、テーマに関する共通の理解と共感につなげます。各人の単語(回答)を類型化することで新たな対話のきっかけが生まれ、また参加者は経験をたずねあうことで、あらたな「気づき」とそれによる「経験の向上」(コラム2)につながります。

 なお、ノートパソコンによる専門的な内容のスライドや印刷資料を通して、テーマに関する話題提供を必要に応じて行い、参加者の理解をより深めます。

生命・自然・社会のつながりと水・食料・エネルギーの持続可能性との関連の図
図2 生命・自然・社会のつながりと水・食料・エネルギーの持続可能性との関連

 終了時には、内容に関して「理解の度合い」とその「理解できた点」、ならびに「共感の度合い」とその「共感できた点」についてそれぞれアンケートを実施します。アンケートの結果は、次回の同様なテーマでの開催のための資料作成の参考にしました。

 さらに、毎回のテーマを通して生命(人)と自然、社会(経済)のかかわりの理解から「人間であること」「いかに生きていくか」をともに学び、生活の価値(生命をよりよく活かすこと)を考えます(図2)。