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2021年6月29日

気候変動の影響の観測と検出

コラム2

 気候変動にともなう生物の変化を観測する方法は、主に2つあります。1つは、長期間にわたり決められた方法による観測(モニタリング)を続け、変化を検出するものです。生物の分布や開花日などの生物季節に関する調査を、1年ごととか5年ごとなど一定の時間をおいて繰り返すことによって変化を把握します。しかしこの方法では、変化を検出するまでに時間がかかるうえ、樹木の分布の変化のように数十年から数百年の時間スケールで起こる事象に関しては、検出できない可能性があるという欠点があります。

 もう1つは、過去から現在にかけての生物の変化の情報を活用し、長期的な変化を検出するものです。この方法では、過去の調査データを発掘し、当時と同じ場所や方法で生物の調査を行う追跡調査によって、過去から現在までの間に起きた変化を明らかにします。こちらの方法は、長期的に生じる現象の検出も可能ですが、過去のデータがある場所や生物種にしか適用できないという欠点があります。

 多くの場合、気候変動の影響を検出するだけでなく、将来の状態を予測することも求められます。ここでは「モデル」が活用されます。過去から現在までのデータを用いて、生物の分布や開花日などの活動を、気温、降水量、土地利用、地形などの環境条件の関数として表わす数式(モデル)を作成する方法です。現実をよく説明できるモデルを構築し、気温や降水量の値を操作することで、将来の気象条件における分布や開花日を予測することができます。

気候変動の検出の図
図1 気候変動の検出

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