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メーヌ大学音響研究所にて

海外からのたより

田村 正行

 最低気温、零下13度を記録した冬が去って、西北フランスの町ルマンも、いま春の盛りを迎えようとしています。日照時間もぐんぐん長くなり、4月上旬で、すでに日没は8時半過ぎにまでになりました。もっとも、これは3月末に夏時間に変わって、1時間、時刻を早めたせいもありますが。

 ルマンというと、多くの人は有名な24時間自動車レースを思い浮かべるでしょう。実際レースの行われる6月下旬には、毎年、世界中から多数の人がルマンに押し寄せ、レースカーの音が町中に響き渡るそうです。特に、日本人ジャーナリストの数は全ヨーロッパからのジャーナリストの数よりも多いとのことです。このように書くと、騒々しい観光都市を想像するかも知れませんが、実際のルマンは、写真のような古い教会や、ローマ時代の城壁の残る落ち着いた町です。

 私の働くメーヌ大学音響研究所は、この町の西のはずれに位置しています。私の家はルマンの東のはずれにありますので、毎日ルマンの町を横切り、写真の教会、サン・ジュリアンの前を通って通勤しています。この研究所には、常勤と非常勤を合わせて40名近い研究スタッフがおり、材料音響学のアラール教授、音響変換器の研究をしているブルノー教授を始めとして、活発な研究活動を行っています。

 私がこの研究所にきた第一の目的は、アラール教授のもとで吸音及び遮音理論の研究を進めるためでしたが、現在、当初の目的とは多少異なる方向に研究の重点をおいています。昨年、研究所のセミナーで、私の開発した「空間フーリエ変換を利用した、任意入射角における吸音率測定方法」について発表をしたところ、幾人かの人が興味を持ってくれ、この研究所にも、環境研にあるのと同様の測定システムを作ろうということになりました。そこで、目下、この測定システムの製作と、それを使った実験の準備に追われています。

 私のフランス滞在も残すところ2か月足らずとなりましたが、帰国までに実験を終え、アラール教授の理論との比較をしたいものと考えております。

(たむら まさゆき、地域環境研究グループ交通公害防止研究チーム)

メーヌ大学音響研究所の写真