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国立環境研究所研究報告(R-130-'93)
「都市型環境汚染による健康影響・リスクの環境保健モニタリング手法に関する研究」(平成5年3月発行)

 本書は,特別研究「大都市圏における環境ストレスと健康影響に関する環境保健モニタリング手法の開発に関する研究(昭和63年〜平成3年度)」における研究成果のうち「環境保健モニタリング」にかかわる個別の研究をそれぞれ論文の形で掲載したものである。ただし,最初に「環境保健モニタリング」手法の必要性や概念・定義について述べ,その後,特別研究報告(SR-12-'93)の内容,すなわち,道路沿道の夜間騒音と睡眠影響及びディーゼル排ガス粒子汚染と肺ガンリスクを具体的にモニタリングする方法のそれぞれに関連する諸研究を2部に分けて列挙し,また,得られた知見や今後の課題などについて整理・考察した。結論として,検討した方法は,夜間交通騒音による睡眠妨害とその慢性影響あるいはディーゼル排ガス粒子暴露による肺ガンリスクを長期にかつ広域にモニタリングするために有用であることが示唆された。

(地域環境研究グループ 兜 真徳)

国立環境研究所特別研究報告(SR-10-'93)
「先端技術における化学環境の解明に関する研究」(昭和62年度〜平成3年度)(平成5年3月発行)

 近年,化学物質の生産及び使用の増加と共に,環境に放出される化学物質の数,量は増加し続けている。この特別研究では,これらの化学物質の環境中濃度を知るためのモニタリング,モニタリングのための分離分析手法の開発,そしてこれらの化学物質が環境中をどのように移動し変化するか,またその毒性はどのようなもので環境や人間にどのような影響を及ぼすかを調べることを目的とした。

 本報告書では,研究が行われた対象化学物質により(1)ダイオキシンと塩化ジベンゾフラン,(2)揮発性有機塩素化合物,(3)有機スズ化合物,(4)金属元素の章に分けて研究内容とその成果がまとめてある。

(地域環境研究グループ 相馬悠子)

国立環境研究所特別研究報告(SR-11-'93)
「環境容量から見た水域の機能評価と新管理手法に関する研究」(昭和62年度〜平成3年度)(平成5年3月発行)

 湖沼水質は,生活環境項目にかかわる環境基準の達成率が毎年40%の前半で推移しているように必ずしも改善の気配がみられていない。このような背景から,本特別研究では湖沼環境容量概念を湖沼環境保全のために導入し,新たな発想での水質管理手法に関して研究を行った。主な内容は以下のとおりである。(1) 全国の環境基準が指定してある湖沼について達成状況の解析を行った。(2)住民の意識調査を行い住民意識を解析した。(3)霞ヶ浦流域を対象に地理情報システムを構築し,その環境変化特性を解析した。(4)霞ヶ浦における新たな水質保全基準となるべき水準を求めるための検討を行った。(5)流出負荷ポテンシャルモデルを作成し流域特性を解析した。(6)霞ヶ浦の河口域での浄化対策を考えた。(7)漁業活動を通した高次捕食者の制御による水質管理を検討した。(8)アオコの発生環境及び発生因子につき屋外実験池を用いて検討した。


(水土壌圏環境部 相崎守弘)

国立環境研究所特別研究報告(SR-12-'93)
「大都市圏における環境ストレスと健康に係わる環境保健モニタリング手法の開発に関する研究」(昭和63年度〜平成3年度)(平成5年3月発行)

 本書は,都市環境影響評価研究チームを中心に行われた上記特別研究の成果に関する最終報告書である。主たる内容は,(1)近年「都市型環境汚染」の傾向が強まる中,最も緊急性の高い道路交通由来の夜間騒音による睡眠影響及びディーゼル排ガス汚染による肺ガンリスクを監視するための「環境保健モニタリング手法」を具体化することを目的としたこと。(2)そのため,東京大都市圏を対象に,1985年現在の道路別交通量と人口分布のデータベースを統合し,沿道の夜間騒音レベル別及びディーゼル排ガス粒子濃度別の暴露人口数を推定する方法を検討したこと。また,(3)沿道住民での個人暴露量を調べる他,騒音の生理実験による影響の個人差の検討,及び既報の動物実験による肺ガンリスク(過剰肺ガン死亡数)を吟味し,暴露人口に乗じて年間リスクを算出する方法も検討したこと。(4)以上の諸検討の結果,暴露人口推定と調査・実験研究を統合する手法が上記影響・リスクをモニタリングする上で有用であることが示されたこと,等である。

(地域環境研究グループ 兜 真徳)

国立環境研究所特別研究報告(SR-13-'93)
「広域都市圏における交通公害防止計画策定のための環境総合評価手法に関する研究」(平成元年〜3年度)(平成5年3月発行)

 大都市圏における自動車公害問題は,旧来からの公害問題のうち,未解決で最も深刻な課題の一つとして残されている。本報告書は,従来から行われてきた局地的・個別的アプローチにとどまらず,自動車による環境影響を広域都市圏全体について総合的に把握し,自動車公害問題の解決に向けた多様な対策を評価する手法を開発することを目的として実施した特別研究の最終報告書である。報告書では,まず複雑な道路構造や沿道構造をもつ都市部の道路に適したモデルとして,差分法による大気拡散予測モデルおよび境界要素法による騒音伝播予測モデルの開発結果について述べている。また,交通量配分モデルと大気汚染予測モデルを組み合わせ,広域都市圏全体について自動車交通の環境影響評価を行うシステムを開発するとともに,鉄道を利用した物流システムや電気自動車などの新たな対策を提案し,開発した環境影響評価システムを用いて,これらの対策効果の予測評価を行った結果についても報告している。

(地域環境研究グループ 清水 浩)