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環境基本計画と環境研究

巻頭言

主任研究企画官 奥村 知一

おくむら ともかず の写真

 今年の夏は記録に残る猛暑であった。

 その猛暑の中,中央環境審議会企画政策部会は,環境基本計画検討の中間とりまとめを公表し,8月2日から9月13日まで,全国の9都市において精力的にヒアリングを開催し,また,パソコン通信なども利用して,広く国民の意見を聴いた。年内に予定されている同部会の最終答申を受け,政府は総合的・計画的な環境政策の展開を目指して,本年末を目途に環境基本計画を策定することとしている。

 環境庁が8月末にとりまとめた平成7年度予算の概算要求においては,その基本的な考えとして7年度を環境基本計画の実施初年度と位置づけ,(1)循環を基調とする経済社会の実現,(2)自然と人間との共生,(3)環境保全活動への参加,(4)国際的取り組みの推進,を目標に積極的な施策の展開を図ることとしている。

 本研究所との関連では,同計画の実行を支え,持続可能な社会の実現に向けた基盤の整備を図ることとし,環境情報を広く国民等に提供するため情報基盤や提供システムを整備し,7年度中に運用を開始する。また,環境研究の充実を図ることとし,地球環境研究推進のための共同研究を行う国際交流研究を総合推進費に追加する。さらに,8年2月打ち上げ予定の人工衛星に関するデータ解析等の地球環境研究センター経費の拡充などが特に示されている。

 本研究所は平成2年7月に,公害問題に加え,自然環境保全や地球環境問題への対応を図るべく,抜本的な組織改革を行った。7年度は,2年3月に定めた運営に係る基本的方針で想定した期間のほぼ中間点に当たる。本研究所が環境研究の中心的機関としての役割を果たし続けるためには何が必要かとの観点から研究所内においても検討が必要であるが,今回の基本計画の検討に当たっての企画政策部会に寄せられた各界各層の意見について,環境研究の視点から注目したい。

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