編集後記

　この春も多くの人事異動がありました。本号では，京都大学に移られた内藤先生から退任にあたっての寄稿をいただきました。内藤先生は研究所設立当時から当研究所の発展のために指導的な役割を果たされ，また，当所の十年誌，二十年誌の編纂のリーダーも務められました。二十年にわたるご尽力に敬意と感謝の意を表します。

　今年に入って，大きな自然災害や，人間の価値観の基盤の脆弱さを感じさせるような一連の事件など，日常生活をおびやかす出来事が続いています。後者は教育の問題に帰するところが大きいと思いますが，私たちも人類の生存の意味や自然との関わりといった根源的な問題を様々な面から繰り返し問い返すことが重要ではないでしょうか。これは，本号の巻頭言の意図するところと通じることであるかもしれません。( N.S.)