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国立環境研究所特別研究報告(SR-20-'96)
「閉鎖性海域における水界生態系機構の解明及び保全に関する研究」(平成3〜6年度)(平成8年3月発行)

 富栄養化の進行した閉鎖性海域では,底層の貧酸素化や赤潮・青潮の現象にみられる水界生態系破壊が発生しており,水産への被害はもとより,海域のもつ自浄作用など多様な機能・価値への悪影響が社会問題化している。本研究は,内湾域での富栄養化の進行と貧酸素水塊形成・青潮発生との関連及び内湾環境の評価手法などを検討するために,現場海域の調査,室内実験,数値シミュレーションによる研究を行った。1)内湾生態系内での藻類やバクテリアなどの現存量と増殖速度を測定し,海水中の溶存有機物を介して行われる食物連鎖には,微小な動植物プランクトンおよびバクテリアの役割が重要であることが明らかとなった。2)青潮発生の要因として,貧酸素水塊,風向(風速),気温の関与を特定し,各要因を数値化することによって,青潮発生予測の基礎的手法となり得ることを明らかにした。3)東京湾沿岸住民を対象に実施した身近な海に対する自由連想調査に基づいて,海域の自然価値などについて多くの側面から検討し,それらの体系化を試みた。

(地域環境研究グループ 竹下俊二)