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木漏れ日便り

 ページの余白を埋める木漏れ日便りは,不定期に出番がやってきます。久しぶりの登場となる今回は,まるまる空いてしまった1ページをそっくりもらってお届けします。

 今号の表紙では環境研の構内で見られる野生の植物4種の花を紹介しています。これらはいずれも日本列島の在来種,すなわちもともと自然に生育していたものです。けれども,私たちの身の回りには近年になって日本の外から入ってきた外来植物もたくさん生えています。それらは人間が意図的に持ち込んだ園芸品種が逃げ出したものや,気がつかずに持ち込んでしまったものがいつのまにか定着してしまったものです。人間の活動の影響を強く受けている場所では,むしろ外来の種類のほうが多いくらいです。環境研の構内やその付近でも,いくらでも外来植物を見つけることができます。これらの植物自身になんの罪もないのですが,きれいだなと手放しで愛でる前に,こんな花が咲き乱れる様子は100年余り前の日本では決して見られなかったし,これらの種類がはびこったために在来種が隅に追いやられているかもしれないことを,ちょっと頭に浮かべてください。

 (竹中明夫)

花の写真その1
セイタカアワダチソウ(左)は外来植物というとまず名前があがる。北アメリカから観賞用に持ち込んだものが,20世紀半ばから急速に広がった。マツバウンラン(中)も北アメリカ原産で,1940年代に入ってきたらしい。芝生に侵入しているのをよく見かける。ナガミヒナゲシ(右)は地中海沿岸原産で,1960年代に定着。環境研前の大通り沿いに繁茂している。
花の写真その2
ワルナスビ(左)は北アメリカ原産で,20世紀のはじめに牧草といっしょに入ってきて定着し,日本各地に広がった。ブタナ(中)はヨーロッパ原産で,1930年代に定着が観察されている。環境研の芝生でもふつうに見られる。ニワゼキショウ(右)も芝生などでよく見られる。北アメリカから,19世紀の終わりごろに入ってきたとされている。