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国立環境研究所特別研究報告 SR-86-2009 (平成21年9月発行)
「省エネルギー型水・炭素循環処理システムの開発(特別研究)」
(平成18~20年度)

 本報告書は,平成18~20年度の3年間にわたって実施した特別研究の研究成果を取りまとめたものです。有機性排水処理に関わるエネルギー消費量の大幅削減が可能な処理技術の確立を目指して,生物膜メタン発酵法による低濃度産業排水の無加温処理技術の開発を行い,今まで好気性微生物処理(活性汚泥法など)の範疇であった低有機物濃度(300~1,000 mgCODCR/L),低水温(10~20℃)の排水に対する嫌気性処理法(省・創エネルギー処理)の基礎を確立することができました。また,嫌気性処理(UASB)と省エネルギー型の好気性処理(DHS)との組み合わせによる都市下水の実証処理試験の結果,無加温運転で年間を通じて良好な処理水質を維持した上で,活性汚泥法と比較して消費エネルギーの7割削減を達成しました。本研究の成果を,有機性排水処理の省エネルギー化とそれに伴う温室効果ガスの削減,開発途上国における排水処理技術の普及などの施策に結びつけ,水環境および地球環境の保全に役立てていきたいと考えています。

 (水土壌圏環境研究領域 珠坪一晃)

国立環境研究所特別研究報告 SR-87-2009 (平成21年9月発行)
「化学物質の動態解明のための同位体計測技術に関する研究
(特別研究)」 (平成18~20年度)

 本報告書は,平成18~20年度の3年間にわたって実施した特別研究の成果を取りまとめたものです。この特別研究では,有機物の放射性炭素から,無機元素の安定同位体まで,いろいろな環境試料に応用できる,試料前処理法を含めた高精度な同位体計測システムの確立を目指して研究を進めました。残念ながら,環境中にある無機,有機有害化学物質は多種多様であり,その全てに対応できる普遍的な同位体分析手法を作り上げることは困難ですが,本研究で確立されたアルデヒドの放射性炭素や鉛の同位体分析技術は,今後,有害金属の同位体分析や有害有機物の放射性炭素測定に応用でき,有害化学物質の起源推定と環境中におけるその濃度低減対策に役立つことが期待されます。また,多くの環境試料についてこの同位体分析手法を応用して行く中で,さらに高度な同位体計測技術が蓄積され,将来問題となってくる有害物質の環境問題解決,リスク低減へも貢献できるものと考えています。

 (化学環境研究領域 瀬山春彦)

国立環境研究所特別研究報告 SR-88-2009 (平成21年9月発行)
「侵入生物・組換え生物による遺伝的多様性影響評価に関する研究
(特別研究)」 (平成18~20年度)

 本報告書は,平成18~20年度の3年間にわたって実施した特別研究 「侵入生物・組換え生物による遺伝的多様性影響評価に関する研究」 の成果をまとめたものです。

 この報告書で取り上げた侵入生物とは,人間の活動に付随して侵入する生物のことを指します。このような侵入生物の種数は1990年代以降の世界的な自由貿易のひろがりにより,日本においても加速度的に増加することが予想されています。このような背景をふまえて,本研究では,遺伝子の多様性(遺伝的多様性)を脅かす人為的要因として「遺伝子組み換え生物の拡散」と「人為的な生物の移送」に焦点をあて,こうした行為が,在来種の地域個体群にどのような影響を与えているかを解明しました。本報告書の中で示された知見が今後さらに充実し,侵入生物防除対策へ生かされることを期待しています。

 (生物圏環境研究領域 中嶋信美)

NIES Annual Report 2009 AE-15-2009 (平成21年10月発行)

 本英文年報は海外の研究者や行政担当者などを対象に,独立行政法人国立環境研究所の調査・研究の現状を紹介することを目的として年1回発行されています。第2期中期計画の調査・研究部門を担う,研究プログラム担当の3センターと1グループ,6つの基盤研究組織および環境研究基盤技術ラボラトリー,環境情報センターで実施された調査・研究,国際交流,広報活動等の概要が分かりやすく記述されています。また,研究所の組織,予算,研究施設・設備の状況,研究成果の一覧,その他研究所の活動の全体像を知る上で役に立つ様々な資料が掲載されています。

 (編集委員会英文年報班主査 村上正吾)