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臨湖実験施設における霞ケ浦湖水の水質モニタリング

施設紹介

相崎 守弘

 霞ケ浦臨湖実験施設は霞ケ浦の湖心域に面した美浦村大山に,1984年3月に完成した施設である。本施設では,気象,湖気象,水位など湖の環境を支配している基本的な因子について発足以来自動計測を行っている。霞ケ浦湖水の水質モニタリングは,本施設が霞ケ浦の中央部に面し,霞ケ浦の水質モニタリング地点として優れているところから,1987年10月より開始した。

 本施設では,各種実験装置で使用する湖水を供給するため,湖岸から150m沖合い,水深1.5mの地点に取水装置が設けられており,用廃水処理棟に設置したポンプで0.5mの水深から1日当たり約120トンの湖水を取水している。水質モニタリングはこのポンプで取水した湖水について毎週3〜4回程度行っている。調査項目は各種栄養塩濃度,懸濁物の乾燥重量・炭素量・窒素量,クロロフィル—a濃度である。特に,富栄養化関連項目に着目したモニタリングを行っている。測定結果は湖水を利用した各種実験の基礎データとして,また霞ケ浦湖心域の水質データとして利用されている。

 測定結果を見ると,植物プランクトン等の懸濁物質量は9〜10月に高くなった。これはこの時期に,湖流等との関係からミクロキスティスが吹き寄せられ増殖したためと考えられる。1989年1月には霞ケ浦の透明度が異常に増加し,非常に澄んだ湖水となったが,このことは各種の懸濁物濃度からも裏づけられた。しかしこの時,硝酸態窒素や溶存態全窒素濃度は非常に高い値であった。したがって,霞ケ浦の水質が改善されつつあるかどうか今後の推移を見ないと即断できない。

(あいざき もりひろ,水質土壌環境部主任研究官臨湖実験施設担当)

図  クロロフィルa濃度の経日変化