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国立環境研究所の役割は何ですか?

論評

東京農工大学工学部助教授 岡田 光正

 大先輩方に混じって私のような若輩が寄稿できることを大変光栄に思います。現在も国公研時代と同じような仕事をし,これからも国立環境研究所の皆様と同様な研究を続けようとしている立場で,新しい研究所への期待を述べさせていただきます。

 国公研が,環境科学分野においてきわめて大きな存在であることは,環境科学研究者の間ではよく知られています。しかし,その活動はややもすると大学と同一次元であり,何のための国立研究機関か,独自の役割が不透明な感じがします。大学に比べれば予算と設備は過大です。しかし,学生がいない分,人員は過小でしょう。また,何よりも環境庁の機関です。研究所がしなければ誰もできない,世界に誇れ,貢献できる研究は何でしょうか?地球の二酸化炭素濃度のような,環境破壊をもたらす物質の長期的なモニタリングを継続することもきわめて重要であり,他機関では困難です。また現在の環境行政を推進する上で科学的知見の不足が大きなネックになっていることも多々あるようです。これを支えるのも国立環境研究所の重要な研究と思われます。大学とは異なり,国立環境研究所でなければできない研究を推進し,環境科学の研究方向と環境行政の方向を示すような先導的な研究所になっていただきたいと思います。

(おかだ みつまさ,元水質土壌環境部陸水環境研究室)