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国立公害研究所特別研究報告(SR-4-'90)
「水界生態系に及ぼす有害汚染物質の影響評価に関する研究」昭和60〜63年度(平成2年3月発行)

 この報告書で取り上げられている有害汚染物質は重金属と農薬である。重金属汚染については全国25河川についてその生物相調査結果がまとめられている。多くが銅,亜鉛,カドミウムの汚染で,汚染の程度が高ければ種類数は減少するのは予想通りであったが,特定の種ではむしろ現在量が増加していた。それら特定種の耐性機構が解明されたが,世界的にも注目すべきことである。

 農薬汚染の実態は一部の河川,湖について明らかにされた。河川底生動物の中で除草剤の影響を受けると考えられるのは2種のコカゲロウで,そのうち1種は流下殺虫剤の影響も受ける。ユスリカ類は調査地点における農薬の濃度では影響を受けないことなど種による差が明らかとなった。農薬の生態系影響について実験的研究が各種の隔離水界等を用いて行われ,このレベルの試験も実用段階に入りうることが報告されている。

(生物環境部 安野 正之)

国立公害研究所特別研究報告(SR-5-'90)
「環境指標を用いた都市及び自然環境等の変動予測手法開発に関する総合解析研究」昭和60〜63年度(平成2年3月発行)

 産業のソフト化,人口の都市集中,技術革新,高度情報化,国民意識の変化,国際交流の活発化等,21世紀に向けた社会経済の基本潮流は,わが国の環境問題に大きなインパクトを与えようとしている。本報告は,このインパクトの全容を予測するため,昭和60年度から実施してきた特別研究の最終報告である。報告はまず,21世紀に向けた13の基本潮流を同定し,この潮流が7つの分野の環境問題に及ぼすインパクトを,合計100近いシナリオに整理している。次いで,デルファイ法という多数の専門家の知見を活用する手法によって,これらのシナリオの確からしさを評価し,特に重要なものについて,計算機シミュレーションによりさらに検討を深めている。また,本研究の過程で開発したデータベース,知識ベース,予測モデルづくりを助ける計算機システム等についても,その全容を紹介している。

(総合解析部 森田 恒幸)