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政策1. 循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究
政策1.(1) 循環型社会への転換策の支援のための評価手法開発と基盤システム整備に関する研究(平成 17年度)
1. Studies on material cycles and waste management
(1) Development of assessment tools and information basis for supporting the transformation to a sustainable material cycling society

研究課題コード
0105PR011
開始/終了年度
2001~2005年
キーワード(日本語)
資源循環, マテリアルフロー分析, 投入産出表, ライフサイクルアセスメント, 情報システム, 安全性評価
キーワード(英語)
MATERIAL CYCLES, MATERIAL FLOW ANALYSIS, INPUT OUTPUT TABLES, LIFE CYCLE ASSESSMENT, INFORMATION SYSTEM, SAFETY ASSESSMENT

研究概要

循環資源をはじめとする物質のフローを経済統計と整合的に記述・分析し、循環の度合いを表現する手法、資源の循環利用促進による環境負荷の低減効果を総合的に評価する手法、地域特性にあった循環システムの構築を支援する手法、および循環資源利用製品の安全性を評価する手法を開発し、これらを循環型社会への転換に係る諸施策の立案・実施・達成状況評価の場に提供することにより、循環型社会の構築に資することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

13年度マテリアルフロー勘定の設計、基礎情報整備、これに基づく指標開発に着手する。資源循環促進による環境負荷低減効果の評価にLCAを適用する際の問題点の検討、インベントリデータの収集に着手する。循環システムの地域適合性を診断するための手法の調査・整理、リサイクル材の地域流通に関する基礎調査を行う。リサイクル製品の利用状況の把握と安全性評価のための基礎的検討を行う。
 14年度循環資源関連部門を細分化した物量投入産出表の構築、消費財に関連する材料のマテリアルフローの事例研究、マテリアルフローに基づく循環の指標の開発を進める。消費財のリサイクル促進による環境負荷低減効果評価の事例研究、政策手段導入による資源循環促進効果の分析手法の基礎的検討を行う。循環システムの地域適合性診断モデルの概念設計を行う。リサイクル製品の安全性評価のため、都市ごみ溶融スラグ、焼却灰、防腐剤含有廃木材等の有効利用法の検討とその化学性状を把握する。
 15年度消費財・耐久財関連材料のマテリアルフローの事例研究を進める一方、マテリアルフロー勘定の枠組みの改良、マテリアルフローの把握に基づく「循環の指標」の改良を進める。消費財および耐久財のリサイクル促進による環境負荷低減効果評価の事例研究を進めるとともに、資源循環の促進策に係る経済的手段の導入効果の分析や資源循環の促進のための多様な政策手段について、基礎的検討を進める。循環システムの地域適合性診断モデルのサブモデル構築、事例研究地域のデータ収集に着手する。リサイクル製品に含まれる有害物質の挙動のモデル化、安全性測定法を開発する。
 16年度マテリアルフロー勘定と生産波及モデルを用いて、循環産業の成長が他部門に及ぼす影響を分析する。廃棄物・循環資源に関するライフサイクル影響評価手法を資源循環促進効果の評価に適用する。前年度に開発したサブモデルを地域循環診断システムに統合する。リサイクル製品に含まれる有害物質の挙動のモデル化、人体暴露のモデル化、安全性評価法の開発を進める。
 17年度産業連関表と連動した物量投入産出表の枠組みを確立し、主要原材料・循環資源のフローの体系的記述を完成させ、マテリアルフローに着目した循環型社会の達成度評価指標を提示する。廃棄物・リサイクル関連のLCA手法の標準的手法をまとめ、この手法を用いて資源循環促進による環境負荷低減効果を裏付ける。地域循環診断システムを用いて関係主体を交えた代替案評価を試行する。土壌・地下環境中および生活居住空間中でのリサイクル製品の安全性評価試験法を提案する。

今年度の研究概要

(1) 循環資源の発生・処理・処分・再生利用に関するマテリアルフローを体系的に示した数表を複数時点について構築し、これと動脈部門を含めた経済活動全体についての産業連関表との結合を進める。マテリアルフロー勘定の枠組みの検討や、資源の循環的利用促進の効果分析における指標利用に関する実証研究を進める。
 (2) 容器包装のうち、その他プラスチックに焦点をあてたLCAの事例研究をさらに進め、政府による法制度の改善や企業等による技術の改良、消費者による負担が小さく効果の大きな行動につながる知見としてまとめる。さらに、個別リサイクル法に共通する課題の整理等を踏まえて、循環基本法や循環基本計画における基本理念と個別リサイクル法との間を埋めるべき、3R促進のための制度・技術の共通的・基本的な要件をまとめる。
 (3) 地域における廃棄物・循環資源の移動と循環の範囲について、埼玉県において構築した地理情報システム、ならびに輸送モデル・需給適合モデル等を用いて、その成因の解析と質変換・物流拠点を仮想的に設置または除去した場合の地理的なフローの変化の予測を進め、拠点計画法として提示する。さらにネット輸送割合、廃棄物産業連関、LCA、コンジョイント分析等により、循環スケールと経済・社会・環境上のパラメータとの関係を検討して、地域循環度指標を提示する。
 (4) リサイクル材料又は製品の安全性の評価方法及びその有効利用法について研究を進める。長期的安全性の視点から促進劣化試験とキャラクタリゼーション試験を組合せた実験的検討により基礎情報を集積しつつ評価手法の開発をめざすとともに、再生製品の環境安全性試験全体のシステム規格化への展開に向けた研究に着手し、全体フレームを示す。リサイクル製品の安全性評価に関する各種バイオアッセイの実試料評価への適用、炭化物の高性能化や再利用法に関する検討等に取り組む。

課題代表者

森口 祐一