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炎症反応による記憶機能分子かく乱に着目した化学物質に過敏な動物モデルの作成(平成 18年度)
Establishing a new sensitive model to assess harmful effects on memory function following exposure to environmental chemicals

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0608CD494
開始/終了年度
2006~2008年
キーワード(日本語)
炎症,記憶,環境化学物質
キーワード(英語)
INFLAMMATION, MEMORY, ENVIRONMENTAL CHEMICALS

研究概要

低濃度の揮発性化学物質の健康影響解明のためには、有用な動物モデルを用いて低濃度化学物質の曝露を行い、IV型あるいはV型に分類されているアレルギー反応や高容量の曝露で見られる傷害作用としての中毒学的反応と異なる反応が誘導されるか否かを明らかにすることが急務と考えられている。また、MCSやシックハウス症候群の疑いのある患者でアレルギー性疾患の罹患率が非常に高いという報告があることから、アレルギー性炎症反応から神経性炎症反応を誘導すること、及びその相互作用による可能性が一つの仮説として考えられている。
本研究では、化学物質の曝露によるアレルギー性炎症反応と神経性炎症反応の誘導、および記憶情報を蓄積させる過程でのかく乱の機構を明らかにすることで、過敏症の解明に有用な動物モデルを作成することを目指している。今回の提案は、これまでの研究成果を発展させるために大脳辺縁系への影響と免疫系への影響結果から抽出した炎症と記憶機能との関連に絞って、低濃度化学物質曝露による炎症反応の誘導から記憶機能かく乱へのメカニズムについて解明し、過敏症解明のための動物モデルを提供することを目的とした。

全体計画

今回の提案では、これまでの研究成果を発展させるために大脳辺縁系への影響と免疫系への影響結果から抽出した炎症と記憶機能への影響に絞って、低濃度化学物質曝露による炎症反応の誘導から記憶機能かく乱へのメカニズムについて解明し、過敏症解明のための動物モデルを提供することを目的とした。研究は2課題より構成し、初年度は神経性炎症の解析とアレルギー性炎症の解析を鼻部曝露装置による曝露で行う。2年度は、嗅球や海馬におけるサイトカイン・ケモカインの産生について測定し、神経伝達物質の動きとの相違について解析する。最終年度は、全身曝露した動物で神経性炎症とアレルギー性炎症との相互作用について解析する。

今年度の研究概要

神経性炎症の解析グループでは、トルエン曝露後嗅球と海馬における記憶分子としてのNMDA受容体、および炎症性サイトカインのmRNAとタンパクレベルでの解析を行う。定量的real-time PCRとELISA法で解析する。アレルギー性炎症の解析グループでは、トルエン曝露と抗原感作を併用し、経時的に肺胞洗浄液や肺組織を採取し、炎症性細胞の集積や炎症性サイトカイン産生について免疫組織学的、また、脾臓や頚部リンパ節におけるサイトカイン・ケモカイン産生を測定する。記憶産物としての抗体価は、ELISA法で測定し評価する。

課題代表者

藤巻 秀和

担当者