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Intracavityレーザー吸収法と結合した時間分解フーリエ分光法の開発と応用(平成 20年度)
Development of time-resolved Fourier transform spectroscopy combined with an intracavity laser absorption spectroscopic technique and its application

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0608CD387
開始/終了年度
2006~2008年
キーワード(日本語)
内部共振器,レーザー吸収分光法,時間分解フーリエ分光法,星間分子
キーワード(英語)
DEVELOPMENT OF TIME-RESOLVED FOURIER TRANSFORM SPECTROSCOPY COMBINED WITH AN INTRACAVITY LASER ABSORPTION SPECTROSCOPIC TECHNIQUE AND ITS APPLICATION, LASER ABSORPTION SPECTROSCOPIC TECHNIQUE, TIME-RESOLVED FOURIER TRANSFORM SPECTROSCOPY , INTERSTELLAR MOLECULES

研究概要

時間分解フーリエ変換型分光法により、Intracavityレーザー吸収を観測する高感度赤外分光システムの開発を行う。中間赤外領域における強い赤外レーザー、量子カスケードレーザーの共振器内に吸収セルを設置して、数kmの有効光路長を実現し、分子、分子イオンの弱い吸収スペクトル線を検出できるようにすることを目標とする。スペクトルの時間変化から化学反応速度定数を決定するシステムを用い、陽イオン、電子の再結合反応の速度定数の測定に適用する。星間化学組成の解明のためにHCNH+および HC3NH+ と電子との再結合反応によって生じるHCN, HNC, HCCCN, HNCCCの存在量を求め、分岐比を決定することを目的とする。また環状C3H3+ と電子との再結合によって生じる環状C3H2, H2CCC、C3H, 環状C3Hの分岐比決定にも応用する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

平成18年度。
i) Intracavityレーザー吸収装置の製作。
ii) 赤外レーザーの準備。
iii)吸収分光法のテスト。

平成19年度以降。
i) 環状-C3H3+と関連化合物の赤外スペクトル研究。
ii) 陽イオンと電子の解離性再結合反応の分岐比の研究。
iii) 負イオンのスペクトル研究。
iv) 金属化合物の反応研究。

今年度の研究概要

本研究では現有の時間分解フーリエ変換型分光器TR-FTSにIntracavity吸収セルを持つレーザー共振器からの赤外光を入射する。レーザーは昨年度開発し発振を確認したチタンサファイアレーザーを用い、共振器内でのIntracavity実験を行う。チタンサファイアレーザーの発振領域は近赤外領域なので、振動遷移の倍音、または電子遷移の特殊なものをテストに用いる。その結果、感度が高いことが証明されれば、対象として星間空間で吸収スペクトルとして観測されているDiffuse Interstellar Bandsの波数領域にレーザーを合わせ、様々な化学反応により生成する物質の吸収を高感度で調べる。本研究経費で、高真空槽、および、その中にセットするパルスノズル、レーザーホールダーなどを準備する。量子カスケードレーザーを購入し中間赤外領域での実験に用いる。
19年度の実験では, 液体窒素温度とドライアイス温度でCH4, N2, He混合物のパルス放電の後, 時間分解分光により赤外発光スペクトルの時間変化を観測した。 HCN, HNCのスペクトル線強度は放電が切れた後に増加していることが認められた.(HNCのv1=2振動励起状態からの発光強度は減少していた.)その増加分を比較するとHCNがHNCより6-10倍多く生成していた。 イオンと電子の再結合反応以外でのHCNが生成しているかまたはHNCからHCNへの変換が無視できないかもしれないので、本年度再実験を行いより誤差の小さな値を導くことを目指す。また3つの炭素原子を含む星間分子としてc-C3H, c-C3H2, l-C3H, l-C3H2 が電波観測で検出されている。その前駆体イオンは環状C3H3+と考えられるので、そのイオンと電子との再結合反応により4つの分子が生成する分岐比決定を目標とする。

備考

研究代表者:岡山大学自然科学研究科川口建太郎教授

関連する研究課題
  • 0 : 地球環境研究センターにおける研究活動

課題代表者

森野 勇

  • 地球システム領域
    衛星観測研究室
  • 室長(研究)
  • 博士 (理学)
  • 物理学,化学
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