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メタロイドのメタボロミクスに関する研究(平成 20年度)
A study on metabolomics of metaloid

予算区分
AE 経常
研究課題コード
0509AE796
開始/終了年度
2005~2009年
キーワード(日本語)
メタロイド,メタボロミクス,微量元素分析
キーワード(英語)
METALOID, METABOLOMICS, TRACE ELEMENT ANALYSIS

研究概要

半金属(メタロイド)に属するヒ素やセレンは、古くから工業的に利用されてきたが、毒性の高い元素としても知られている。これらのメタロイドはメチル化代謝され体外に排泄されるが、その詳細なメカニズムおよび理由は明らかになっていない。取り込み、吸収から排出、排泄までに至るメタロイドの代謝過程を明らかにするためには、メタロイドの状態(価数および形態)変化を解析し、それに関与する蛋白をも含めたメタボロミクスが必要である。本研究はメタロイドの代謝と体内動態を分析毒性学的研究により明らかにし、これら有害メタロイドの毒性軽減、および毒性発現機構を解明することを目的とし、本研究の手法をその他の金属の毒性学へ応用することを目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

メタロイドの代謝機構を明らかにするために以下に挙げる研究内容に基づき研究を進める。(1)メタロイドのうち、まずはヒ素に焦点をしぼり研究を行う。代謝物を測定する上で、代謝物の安定性を評価し、試料調整および検出に留意することが不可欠となることから、ヒ素代謝物の分析条件を決定する。(2)肝臓上清およびヒ素メチル化酵素Cyt19のリコンビナントを用いてメチル化反応の条件を検討する。(3)3価ヒ素化合物は生体内で非常に不安定であり、ただちに5価へと酸化される。ヒ素酸化酵素はヒ素の解毒に対し重要な働きをしていると考えられることから、ヒ素酸化酵素を同定する。(4)得られた結果を基にヒ素の代謝マップを完成する。(5)ヒ素研究で行った手法をセレンにも応用し、セレンの代謝経路を明らかにする。(6)生体内におけるセレンとヒ素との相互作用は以前から知られている。そこで上記で得られた結果を参考に、生体内におけるセレンとヒ素の相互作用をメチル化という観点から解明する。

今年度の研究概要

生体内に蓄積したヒ素化合物の排泄を促進するために、含チオール化合物(BAL,
DMPS, DMSA等)がキレート剤として用いられるが、これらの含チオール化合物はヒ素化合物をキレートする際に5価のヒ素化合物を3価に還元し毒性を高める可能性がある。ヒ素は胆汁排泄されることが明らかになっていることから、経口薬剤により胆汁中に排泄されるヒ素代謝物あるいはその分解物や酸化物を吸着出来ればヒ素の糞中への排泄を促進させることが可能となる。そこで、胆汁酸排泄促進剤を精製飼料に添加し、ヒ素の排泄促進の可能性を検討する。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

小林 弥生

  • 環境リスク・健康領域
    曝露動態研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(薬学)
  • 薬学,化学
portrait

担当者

  • 平野 靖史郎