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水銀同位体の分析法開発と水銀の長距離輸送特性解明への応用(平成 20年度)
Development of Precise Isotope Analysis Method of Mercury for the Characterization of Long-range Transport

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0808AF008
開始/終了年度
2008~2008年
キーワード(日本語)
水銀,安定同位体
キーワード(英語)
Mercury, Stable Isotope

研究概要

近年、先進国では環境中の水銀の起源や長距離輸送特性に関心が集まっている。通常汚染物質はその元素の同位体比を調べることによって自然起源か人為起源を特定することができる。今世紀に入り様々な水銀同位体分析法の開発が試みられたが、2005年にマルチコレクターICP質量分析装置のみが自然界の水銀同位体分布を明示できることが明らかになった。そこで本研究ではマルチコレクターICP質量分析装置を使用した水銀の同位体分析法を確立することを目的としている。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

1)水銀試料導入装置の検討と開発
 マルチコレクターICP質量分析装置で水銀同位体分析を行うために試料導入装置の開発を要する。そこで一般的に水銀の定量測定で使用される還元気化法と電気加熱気化法を比較し、適した導入装置を開発する。

2)マルチコレクターICP質量分析装置による水銀同位体分析法の開発
 水銀同位体分析法の開発にあたり分子イオン干渉やスペクトル干渉などの干渉問題と、分析に必要な水銀量とそれに伴いサンプリング方法の検討を要する。干渉問題は水銀ガスに脱溶媒試料導入装置を用いてタリウムのエアロゾルを混入しタリウムの同位体比を用いて補正を行う。必要な水銀量の特定には様々な試料の水銀同位体測定が必要になる(通常マルチコレクターICP質量分析装置を用いて鉛の同位体測定をする場合は5〜10ppb程度必要)。こうした実験に様々な標準物質、標準試料、認証試料、そして環境試料タイムカプセル棟に保存されている試料の水銀同位体比を測定し、今後研究者相互の検証ができるように報告する。

 上記の研究を実施する事により、日本で初めての水銀同位体分析法を確立し、今後の水銀同位体分析を用いた水銀の起源や長距離輸送特性に関する研究の基盤を確立することができる。そして将来は研究者相互の検証など東アジア圏で水銀同位体に関する研究ネットワークの中心になると期待する。

今年度の研究概要

マルチコレクターICP質量分析装置を用いた水銀同位体の分析法を開発する。そして国立環境研究所やアメリカ国立標準技術研究所が有償分譲している様々な環境標準試料や標準試料中の水銀同位体測定を行い、分子レベルで様々な環境・生物中に蓄積されている水銀の特性を解明する。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

武内 章記

  • 環境リスク・健康領域
    リスク管理戦略研究室
  • 主任研究員
  • Ph.D
  • 地学,化学
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