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チベット高原横断鉄道による野生動物への影響評価に関する研究(平成 20年度)
Research on the Qinghai-Tibet Railway (QTR) influence to habitation of a wild animal

予算区分
CD 文科-科研費 CD
研究課題コード
0710CD494
開始/終了年度
2007~2010年
キーワード(日本語)
チベット高原横断鉄道,GIS,リモートセンシング
キーワード(英語)
TIBETAN PLATEAU RAILROAD, GIS, REMOTE SENSING

研究概要

チベット高原横断鉄道で完全に南北分断されたホフシル(可可西里)国家自然保護区を対象地域として、ホフシル国家自然保護区に生息する大型哺乳類、小型哺乳類の種類、生息数、季節移動の有無、鉄道の動物通路(アンダーパス)の利用率、個体群の数の変化を明らかにする。個体数が激減しているチルーについては、その季節移動と土地利用を調べ、鉄道開通が季節移動に与える影響を評価する。さらに、動物移動用に設けられた鉄道の動物通路(アンダーパス)を評価するために、利用する野生動物の種類と利用率を推定する。また、標本の採集によって、調査地の哺乳類の遺伝的多様性を調べ、データベースを作成する。次に、リモートセンシングの手法を用いて、ホフシル保護区の生息環境評価ならびに、鉄道通過地域の特徴を明らかにする。さらに、経済の発展と環境保全、野生動物保護との両立などの検討を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:

全体計画

本研究はチベット高原横断鉄道で完全に南北分断されたホフシル(可可西里)国家自然保護区を対象地域として、ホフシル(可可西里)国家自然保護区に生息する大型哺乳類、小型哺乳類を研究の対象動物とて、現地調査、赤外線カメラ、無線追跡、ヘリコプター及びリモートセンシングの手法を用いて、ホフシル保護区に生息するチルーを代表とする大型哺乳類と鼠を代表とする小型哺乳類の全体像を明らかにし、越冬地と繁殖地の渡りルートの変化、鉄道の動物通路(animals passages,アンダーパス)の利用率、個体群の数の変化を明らかにする。
本研究におけるサブテーマごとの具体内容と研究目的達成との関連性
(a) 大型動物の生息環境調査
現地調査、大型動物の捕獲技術の開発、捕獲、DNA分析、ヘリコプターによる行動圏、及び個体数の把握、無線追跡に越冬地と繁殖地域の把握、赤外線自動撮影カメラによる鉄道動物アンダーパスの利用率の把握によって、大型哺乳類動物の遺伝学特性、生息環境の変化、生態系を明らかにする。
(b) 小型哺乳類動物の生態環境調査
 現地調査、捕獲技術の開発、捕獲、DNA分析、赤外線自動撮影カメラのよる鉄道アンダーパスの利用、及び行動圏、個体数などを調査して、小型哺乳類の遺伝学特性、鉄道による分断、個体数、生態系を明らかにする。
(c) 無線追跡及びリモートセンシング
大型哺乳類動物の安全な捕獲手法の開発し、チベットチルーをはじめ、チベットノロバ、ヤク、チベットガゼル、オオカミなどに無線受信・発信機材(GPS、PTT)などの装置を付け、行動圏、越冬地、繁殖地の利用状況、行動パターンなどの調査データを背景データ(生息環境のGISと人工衛星データに重ねて、環境の利用、鉄道の影響や生息環境の変化を明らかにする。
小型哺乳類動物に関して、赤外線自動撮影カメラの設置による、鉄道設置された通路(animals passages、アンダーパス)の利用率、行動圏、個体数などのデータを高解像度の人工衛星(大地:ALOS)のデータとオーバーレーし、環境の利用、鉄道による分断、生息環境の変化、生態系を明らかにする。
広域生息環境の評価に関して、研究対象地域における、1970年代、1980年代、1990年代、2000年、及び2006年のランドサットMSS、TM、ETM+ ;Terra/ASTER、SPOT-4、SPOT/VEGETATION、Terra/MODI、USGS/SRTMなどの人工衛星画像データ、特に高解像度の日本の衛星:大地(ALOS)の衛星データを収集し、データの解析を行い、GISデータとの統合により、比較的高解像度の土地被覆変化、植生の季節変化の時・空間データベースを作成し、チベット高原の広域における野生動物の生息環境を評価する。最終的に、チベット高原横断鉄道の建設と運行による生態系の様々な変化を明らかにする。

今年度の研究概要

前年度に引き続き,2008年8月西安・ゴルムト地域を中心に,野生生物の捕獲調査を行う。この段階でPTT首輪の装着・DNAサンプリング等を行い行動圏解析を継続する。PTT発信機から得られた時間と位置情報は,随時アルゴスを通じて自動取得する方向である。特に今年度は,中国側研究機関との連携を深め,一連のシステムの稼動再確認と固体数情報量の増加を目指す。

関連する研究課題
  • : 重点4ー中核3流域生態系における環境影響評価手法の開発

課題代表者

亀山 哲

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • 主幹研究員
  • 農学博士
  • 生物学,情報学,農学
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