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急性冠症候群発症リスクにおける環境因子と個人レベルの修飾因子に関する疫学的検討(平成 21年度)
Epidemiological studies on the environmental and individual factors related to enhanced risk of acute coronary syndrome

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0809AF002
開始/終了年度
2008~2009年
キーワード(日本語)
急性冠症候群,大気汚染物質,影響の修飾
キーワード(英語)
acute coronary syndrome, airnpollutants, effect modification

研究概要

冠動脈の動脈硬化巣(粥腫)の破綻により発症するACSの直接原因として、大気汚染物質を始めとする環境因子が考えられているが、どのような特性を持つ集団・個人が環境因子の影響を受けやすいかという検討はほとんどされていない。本研究では未然防止の観点から、日本におけるACS発症に対する環境因子の影響、環境への感受性を修飾する個人レベルの修飾因子について明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

対象者:研究期間中にACSを発症して筑波大学附属病院およびその関連病院に入院した患者を対象とする。
ACSの診断:虚血に伴う症状とACS急性期に一致する検査所見(心電図、血液検査の推移、冠動脈造影のうちいずれか一つ以上)を認めるものをACSと診断する。
対象者(疾患発症)の個人データ収集:患者の基本情報(年齢・性別、疾患発症に関する情報)は、Ibaraki Coronary Artery Study(ICAS:後述)の登録データを用いる。患者背景(基礎疾患の有無、喫煙・飲酒習慣の有無、内服薬の有無・種類)、発症時の具体的な情報(症状の出現した日時、場所)、生活環境(エアコンの有無、集中暖房の有無など)については質問票を用いて情報を収集する。
ICAS Registryの利用:筑波大学循環器内科の関連病院を中心とした冠動脈疾患患者の登録データベースである。茨城県内の冠動脈疾患患者に関するデータおよびそれをもとにしたエビデンス蓄積を目的とする。
環境因子のデータ収集:環境因子については、対象医療機関のある地域に設置されている測定局で測定された大気汚染物質濃度(SPM, Ox, NO2)および、気象庁より提供された気象に関するデータ(気温、湿度、大気圧)を用いる。大気汚染物質のうち、PM2.5については、国立環境研究所で計測されたデータを用いる。
解析方法:環境因子がACS発症リスクに与える影響についての推定には、ケースクロスオーバーデザインを用い、条件付きロジスティック回帰により交絡因子を調整してオッズ比(95%信頼区間)を計算する。PM2.5についての解析は、つくば市内の医療機関データを用いる。
層別化解析:ACS発症と環境因子との関係をまず評価する。次に、この関連を修飾する個人レベルの因子(肥満の有無、喫煙習慣、飲酒習慣、高血圧・糖尿病・脂質代謝異常等の基礎疾患の有無など)について、層別化した解析を行う。

今年度の研究概要

患者データおよび環境データの解析を行い、大気汚染物質の冠動脈疾患発症へ与える影響について検討する。また、層別化解析により影響を受けやすい患者特性を明らかにする。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

上田 佳代