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伊勢湾流域圏の自然共生型環境管理技術開発(平成 21年度)
Watershed environment management based on the coexistence with nature in Ise Bay

予算区分
CB 文科-振興調整
研究課題コード
0610CB001
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
流域,管理
キーワード(英語)
watershed, management

研究概要

都市農村共生社会における水・物質管理評価システム開発流域圏の生態系サービスの劣化を水・物質循環系の変化過程の視点から検討し、水・物質・植物生態系の3者の相互作用系の理解を深め機構モデルを構築し、生態系サービスの機能評価を行う。陸域生態系が浅海域環境に及ぼす影響と、河川河口域における塩生湿 地・干潟及び藻場の水文地形学及び景観生態学的なユニット構造を抽出し、ユニット毎に一次生産や分解速度等の物質循環機能と生物分布・群集構造を明らかにして生物多様性の実態と生態系機能への人為影響を評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

伊勢湾流域圏の山〜川〜海での水・物質・植物生態系の動態の時系列的情報データベースを構築するとともに機能評価モデルを開発する。特に、流域圏生態系が様々な空間スケールより構成されていることに鑑み、衛星モニタリング情報というマクロ俯瞰的な視点、流域圏物質収支を検査するに適した県市レベルのメソスケール的視点,将来の政策展開を見据えた1kmオーダのミクロ的視点の観点からデータベース構築とモデル開発を進める。流域環境情報の整備と水・物質循環系の経年変化過程の記述の進展に合わせて、個々の生態系サービス評価の機構モデルが内包する定数と個体から景観に至る生態系スケールとの関係を検討し、生物多様性の指標と生態系サービス評価とを関係を明らかにするとともに水・物質循環の観点から自然共生度の程度を評価するモデルを開発する。生態系の遷移に影響を及ぼす土砂堆積等の環境要因を特定し、上流における人為かく乱の影響を評価する。これらを基に、都市-農村共生社会における水・物質管理評価システム開発流域圏の生態系サービスの機能評価を行う。

今年度の研究概要

(1)流域圏における生態系サービス評価モデルの構築
i) 都市−農村共生社会における水・物質管理評価システム開発 
1)森林生態系サービスの効用評価
林業経営モデルを構築し,流域圏における森林管理の経済収支を推定する.また,森林生態系モデルと経営モデルにより生態系サービスの効用を推定し,過去から将来にわたる森林土地利用変化を推定するスキームを構築する.
2)内湾生態系モデルによる伊勢湾の環境変遷解析
伊勢湾における過去20年程度の水質および生態系機能の変遷を,内湾生態系モデルを用いて再現し,解析する.また,二枚貝等による干潟・浅海域における水質浄化能を評価する数理モデルの開発に着手し,内湾生態系モデルに組み込む.
3)自然共生概念の整理と環境管理への展開
自然共生についてのビジョン,概念,指標を環境倫理学など既往研究から整理し,推定された生態系サービス評価を利用した流域における自然共生の実現を把握する方法論を検討する.
(2)海域生態系の機構解明と修復技術の開発
i) 陸域生態系が浅海域環境に及ぼす影響と干潟創出技術の開発
1)河口域生態系機能評価
一級河川河口域の塩生植物群落の植生調査,底生動物調査及び生産・分解等の生態系機能を行い生態系機能図を作成する.また,櫛田川河口の河川及び潟湖干潟の物質循環機能を観測し生態系サービスを見積もり,流域特性と関連性を明らかにする.
2)河口域への陸域栄養塩供給の評価
陸域からの栄養塩類の供給を把握するため,引き続き伊勢湾の主な河川における河口域に分布する海藻植物相を調査し種毎の炭素・窒素安定同位体比を明らかにする.塩生植物等の酸素供給能を測定し生態系機能評価及び湿地の群落調査を行う.
3)伊勢湾沿岸域における二枚貝生息適正マップ作成
二枚貝の水質浄化能を用いた環境修復技術の効率的適用のため,様々な環境要因に対する二枚貝の適正指数を整理し,伊勢湾沿岸域の生息適正指数分布としての総合化に着手する.
4)二枚貝の水質浄化能に基づく浅海域環境修復技術評価
稚貝飼育の室内実験と現場での稚貝成長の野外調査を行い,アサリ稚貝の個体成長モデルの精緻化を図り,さらに個体群としての動態モデルに発展させることで,アサリの水質浄化能に基づく浅海域機能の修復技術の有効性と環境影響を評価する手法を提示する.

関連する研究課題

課題代表者

木幡 邦男

担当者