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黄砂エアロゾルが救急外来受診に及ぼす影響の疫学的検討(平成 22年度)
The effect of Asian dust aerosol on emergency visits

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0910CD008
開始/終了年度
2009~2010年
キーワード(日本語)
黄砂,疫学,健康
キーワード(英語)
Asian dust, epidemiology, health

研究概要

本研究では、黄砂の救急外来受診に対する急性影響を評価するために、黄砂の飛来頻度が高く、かつライダー観測装置の設置されている長崎において、黄砂飛来日と非飛来日におけるSPM濃度と救急外来受診との関連明らかにすることを目的とする。さらには、救急受診の原因疾患別の検討により、各疾患に対する影響評価も行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

平成21年度
 長崎市における救急搬送データおよび黄砂曝露に関する環境データを取得するとともに、それらを用いて、黄砂の飛来と救急外来受診との関連について統計モデルを用いた解析をする。
 救急外来受診患者、及びその患者背景に関するデータの基本情報は、長崎救急医療協議会より、長崎市(地域)救急実態調査(平成9年から実施)のデータベースから、匿名化された状態でのデータの提供を受ける。そのうち、対象者は平成1998年1月1日〜2007年12月31日の間に、長崎地区医療圏内で救急車により同地区の医療機関へ救急搬送された者となる。外傷による救急搬送は除外し、内院生疾患による救急搬送のみを対象とする。このデータベースの情報には、性別、年齢、救急搬送された年月日(出動年月日)、救急搬送の原因となった疾患(診断)等が含まれる。
 環境因子に関するデータのうち、気象に関するデータ、および目視による黄砂観測情報は気象庁より取得し、ライダー観測のデータおよび大気汚染物質濃度に関する情報は国立環境研究所のデータを用いる。黄砂の飛来状況については、1)気象庁による目視、2)ライダー観測で得られるデータ、により評価される。黄砂の曝露指標としては、主に大気汚染物質のひとつである浮遊粒子状物質(SPM)濃度を用いる。
 上記のとおり得られたデータより、黄砂飛来日とそれ以外の日についての黄砂曝露量(SPM濃度)の分布について比較する。黄砂による救急外来受診への影響をみるために、黄砂飛来日と非飛来日についてそれぞれ、下記の方法を用いて解析を行う。
 本研究で用いる解析方法は、case-crossover analysis (1)の手法を用いる。具体的には、個々の対象において、ハザード期間(救急搬送の直前期間、すなわち救急搬送された日、あるいはその前日)とコントロール期間(それ以外の日)の黄砂曝露の状態を比較する方法である。同一の対象内で比較するため、個人に由来する交絡因子の影響(たとえば、性別、年齢、喫煙の有無などの生活習慣)を排除し、短期間に変化する曝露のみ比較することができる。コントロール期間の選択方法にはいくつかあるが、本研究においては、救急搬送された同一月内の同じ曜日をコントロール期間とする方法を用いる。気象要因や他の共存汚染物質による交絡の影響を調整するため、conditional logistic regression modelを用い、SPM濃度の単位上昇あたりの救急外来受診リスクの変化量を推定する。さらに、この推定値が、飛来日と非飛来日で異なるかどうか、すなわち黄砂由来の粒子が救急搬送に与える影響の大きさと、大気汚染物質由来の粒子の影響の大きさを比較する。

平成22年度
 長崎地区救急搬送患者の新たなデータ(2008年1月1日〜2008年12月31日)の追加とともに、SPMとは異なる新たな指標(ライダー観測装置より推定された浮遊物質量濃度)を用いて感度分析を行い、得られた結果を論文として投稿する。

今年度の研究概要

 長崎地区救急搬送患者の新たなデータ(2008年1月1日〜2008年12月31日)の追加とともに、SPMとは異なる新たな指標(ライダー観測装置より推定された浮遊物質量濃度)を用いて感度分析を行い、得られた結果を論文として投稿する。

関連する研究課題
  • 0 : その他の研究活動

課題代表者

上田 佳代