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マルチトレーサーを用いた河口域生態系における流域環境影響の評価手法に関する研究(平成 22年度)
Study on the methods for the environmental impact assessment of river estury using multi-tracer technique

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0810CD002
開始/終了年度
2008~2010年
キーワード(日本語)
生態系サービス,河口域生態系,HSIモデル,生態系機能評価,マルチトレーサー
キーワード(英語)
ecological service, river estuary, HSI model, assessment of ecological function, multi-tracer

研究概要

本研究では、流域からの土砂堆積が問題になっている河口域(伊勢湾-櫛田川)を対象とし、自然の豊かな干潟・塩生湿地の河口域生態系において、1)流域からの栄養塩類の流入量評価と2)分解機能並びに3)酸素供給機能を調査・解析・モデル化を行い、生態系への環境影響の評価手法を得ることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

(1)水循環・物質循環機能の把握
1)水循環機能の把握
・各区に表層から深さ別に塩ビパイプを埋設し、定期的にピエゾメーター水位を測定し、表層地下水の流動性を場所・深度別に比較する。・電磁流速計(2台)をも場や干潟に設置し、波浪や水の交換を測定する。・各地点に連続測定用の自記装置を設置する。・河川水、土壌間隙水、雨水、海水等の採取を行い、水の酸素安定同位対比(18O/16O)を測定する。
2)土壌環境の変動性の把握
・調査区において植物の現存量・密度・群落高・葉面積指数の測定を行う。採取した植物の窒素・炭素安定同位体比(13C/12C、 15N/14N)を測定する。・実験区での環境測定、土壌水分の測定を行う。
3)物質循環機能の把握
・土壌コアサンプルを採取し間隙水を採取し、栄養塩類の分析を行い、一方は埋設し6週間後に重量の増減を測定する。栄養塩の溶出量(無機化速度)を推定する。・土壌コアサンプルの加水分解酵素活性を用いた干潟底泥の有機物分解機能を評価する。・埋設した標準の綿布の分解状態を張力試験し、現場の分解活性を簡易評価する。
4) 酸素供給機能の把握
・植物による底質への酸素供給機能の観測 採取した実生、植物体を実験室に持ち帰り、根からの酸素漏出速度を測定する。・採取した底質の酸素発生量(光合成)及び酸素吸収量(呼吸)を実験室で測定する。・大潮に近い時期の昼間干潮時、底泥が干出した時間帯に調査及び試料の採取を行う。 ・採取した底質の酸素発生量(光合成)及び酸素吸収量(呼吸)を実験室で測定する。
(2)微生物による分解機能の推定
1)方法及び調査地 ・櫛田川河口域及び網張において景観、植生、立地条件(前浜、河川岸、中洲、潟湖)の異なる地点を選定し、調査及び試料採取を行う。・底泥試料は、50 ml容ポリシリンジを用いて、底泥表面から深さ75 mmまでをコア試料とする。・酵素活性の層位別分布の測定に供するため、採取した3本の試料のうち1本を15 mm厚の5層位測定まで5℃で保存する。2)酵素活性測定法 それぞれ植物細胞壁及び甲殻類の外殻の主要な構成高分子である、セルロース及びキチンの分解に関与するβ‐グルコシダーゼ活性(GLU)、β‐アセチルグルコサミニダーゼ活性(AGA)、また、微生物的活性の指標としてエステラーゼ活性(EST)を測定する。3) 細菌群集の多様性の測定 細菌群集の機能的多様性について、Biolog システムを用いて評価する。すなわち、31種類の有機物について、供試土壌中の細菌が炭素源として利用可能であるかどうかを判定し、基質としての利用可能パタンから、細菌群集の機能的多様性を評価する。

今年度の研究概要

22年度は特に水循環機能・物質循環機能と微生物の分解機能の面から環境のモニタリングを行い、伊勢湾及び三河湾の代表的河口域干潟の河口生態系の相互比較をする。
(1)水循環・物質循環機能の把握
1)水循環機能の把握 2)土壌環境の変動性の把握 3)物質循環機能の把握
4)酸素供給機能の把握
(2)微生物による分解機能の推定
1)方法及び調査地 ・河口域干潟において景観、植生、立地条件(前浜、河川岸、中洲、潟湖)の異なる地点を選定し、調査及び試料採取を行う。
2)酵素活性測定法 それぞれ植物細胞壁及び甲殻類の外殻の主要な構成高分子である、セルロース及びキチンの分解に関与するβ−グルコシダーゼ活性(GLU),β-アセチルグルコサミニダーゼ活性(AGA)、また、微生物的活性の指標としてエステラーゼ活性(EST)を測定する。
3)細菌群集の多様性の測定 細菌群集の機能的多様性について、Biologシステムを用いて評価する。すなわち、31種類の有機物について、供試土壌中の細菌が炭素源としてとして利用可能であるかどうかを判定し、基質としての利用可能パタンから、細菌群集の機能的多様性を評価する。

関連する研究課題
  • : 重点4ー中核3流域生態系における環境影響評価手法の開発
  • : アジア自然共生研究グループにおける研究活動

課題代表者

野原 精一

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • シニア研究員
  • 理学博士
  • 生物学,理学 ,水産学
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担当者