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伊豆諸島八丈島へ侵入したニホントカゲ外来個体群による在来種オカダトカゲに対する遺伝的攪乱の動態解析(平成 23年度)
An analysis on dynamics of genetic invasion to native lizard _Plestiodon latiscutatus_ by an alien lizard _P. japonicus_ on Hachijojima Island, Izu Islands

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1111AQ004
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
外来生物,島嶼,交雑
キーワード(英語)
alien species, island, hybridization

研究概要

島嶼へ外来種が侵入して在来生物相に深刻な影響を与える例は,国内外で頻発しており,深刻な影響が出るまで見落とされることも多い.よって,侵入した外来種を早期発見し,迅速に適切にリスク評価を行う体制が必要である.
伊豆諸島八丈島では,高密度で生息するオカダトカゲに特徴づけられる,独特の生態系がかつて成立していたが,人為的に導入されたニホンイタチの捕食圧の影響によりオカダトカゲは絶滅寸前となり,島の食物網は大きくゆがめられてしまった.さらに,近縁な外来種ニホントカゲの定着が,近年明らかになった.これまでの我々の調査から,外来トカゲは侵入初期段階にあること,両種が競争関係にあり,同時に交雑が進行していることが明らかになりつつある.よって,状況は流動的と考えられ,在来のオカダトカゲ集団が,交雑の進行によって近い将来絶滅する可能性がある.そこで,集団遺伝学的・人口統計学的手法を用いて交雑の動態を推定し,在来トカゲの絶滅リスクを評価することを目的とする.同時に,本研究を通して,侵入初期段階における生態リスク評価のための汎用ツールの確立を目指す.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

これまでに明らかになった分布情報をもとに野外調査とDNA解析を行うことにより,島内の遺伝的集団構造を明らかにし,その将来動態を予測することで,在来トカゲの絶滅リスクを評価する.

1. DNA解析による集団遺伝構造の動態予測
 DNA解析については,島北東部の外来種のみ出現する地点,島北端部および中央付近の交雑個体が高頻度で出現する地点,島北西部〜南西部の在来種のみ出現する地点について,それぞれ多数の標本を採集し,これまでの研究から種間差および種内多型が明らかになっているDNAマーカーを利用し,集団遺伝学的解析により遺伝子流動の方向性と速度を推定する.

2. 齢構成と性成熟齢の比較
 センサスと採集,これまでに採集された標本の調査により,齢・性ごとの相対密度の評価を行い,齢構成,性成熟齢の推定を行い,種間で比較する.

3. 総合評価
 以上のパラメータに基づき,外来トカゲとの交雑の進行による,在来トカゲの絶滅リスクを評価する.

今年度の研究概要

トカゲの既知のフェノロジーを考慮し,4〜5月,8月,9〜10月の計3回の野外調査を行う.幼体〜亜成体および雄成体が活発に活動するする4〜5月に性成熟サイズ推定,孵化幼体の出現する8月および雌雄の成体〜幼体とも活発な9〜10月に各齢・性ごとの相対密度の推定を行う.野外調査を行わない6〜7月および冬季に,標本の計測ならびにDNA解析,全体のデータ解析を行う.

外部との連携

共同研究者:
 栗山武夫(東京大学農学生命研究科 生物多様性科学研究室)
 長谷川雅美(東邦大学・理・生物)

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

岡本 卓