統合システム解析による空間詳細な排出・土地利用変化シナリオの開発（平成 23年度）
Spatially Explicit Emission and Land-Use Change Scenarios through Integrated System Analysis

研究概要

気候変動予測シナリオは、国際的な温暖化対策を検討する上での科学的基盤である。次世代の気候変動シナリオの構築に関する研究をわが国が先駆的に進めることにより、温暖化問題の解決に向けた今後の国際交渉をリードしてゆくことが可能となる。次世代の気候変動シナリオの構築に際しては、これまで十分には取り扱われてこなかった自然システムと社会システムを統合して解析するアプローチが必要と考えられる。これまでの気候変動シナリオ研究では、世界を十数地域に分割したグローバルな社会経済シナリオを用いた将来予測が実施されてきたが、本研究では、次世代の気候変動シナリオの構築にむけて、空間詳細な排出・土地利用シナリオの開発を実施する。

研究の性格

• 主たるもの：応用科学研究
• 従たるもの：政策研究

全体計画

これまでの気候変動シナリオ研究では、世界を十数地域に分割したグローバルな社会経済シナリオを用いた将来予測が実施されてきたが、本研究では、次世代の気候変動シナリオの構築にむけて、空間詳細な排出・土地利用シナリオの開発を実施する。このために下記のような研究を実施する。
まず、空間的な社会経済発展パターンをモデル化してグローバルシナリオを空間詳細化（ダウンスケール）する手法と、農林地間の転換をモデル化して空間詳細な土地利用変化シナリオを開発する。
また、空間詳細シナリオを用いて、気候モデルに入力するGHG・エアロゾル等の排出シナリオを開発する。
さらに、空間詳細シナリオの妥当性について国内外のテストサイトにおいて検証する。

今年度の研究概要

(1)温暖化影響を考慮した土地利用シナリオの作成を行うと共に、超長期土地利用変化予測モデルの検証のための、空間経済モデルの構築を行い、ダウンスケーリングの正当性の検証を行う。また、中短期の空間詳細土地利用変化モデルの改良を行い、都市気候モデルへ最終データの提供を行う。さらに、陸域における温暖化影響リスクを統合的に評価するために、土地利用変化モデル、生態系モデル、水資源モデルなどを結合させる方法を検討する。
(2)過去の排出源情報や排出係数の推計値、人口・GDPなどの社会経済情報、土地利用変化などに関する各種情報をアップデートし、空間詳細排出量データベースの高度化に取り組む。
(3)国際研究ネットワークを通じて、世界各地の都市発展の空間情報を収集・分析し、シナリオ検証を実施する。また、テストサイトでの空間情報をダウンスケール計算への入力情報として整備し、空間詳細シナリオの不確実性の低減を図る。

備考

「S-5:地球温暖化に係る政策支援と普及啓発のための気候変動シナリオに関する総合的研究」の一部