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ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)の沿岸生態系における生物濃縮機構(平成 23年度)
Bioaccumulation process of Polybrominated Diphenyl Ether in coastal ecosystem

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1011CD012
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
臭素系難燃剤,生物濃縮,脱臭素化
キーワード(英語)
BFR, bioaccumulation, debromination

研究概要

 ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)は難燃剤として、工業製品の添加剤として用いられてきた物質であり、その構造は高い生物濃縮性を持つポリ塩化ビフェニル(PCBs)と類似している。しかしこれまでに、PBDEsはPCBsと比較して生物濃縮をしにくい、疎水性に依存しにくい、という傾向が実環境での観測から明らかになった。本研究では、その要因として「取り込み」と「代謝」に着目した室内実験を実施することにより、実環境で生じている現象を解明することを目標としている。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

 本研究では、沿岸生態系におけるPBDEsの生物濃縮機構についてフィールド観測の結果をもとに、取り込みについて着目したin vivo実験,代謝に着目したin vitro実験を実施し、実環境に適応させることを目的とする。
 昨年度は、In vitro実験として、マコガレイの肝ミクロソームを用いた分解実験を実施し、PBDEsの脱臭素化パターンについての知見を得た。In vivo実験では、マコガレイへの餌と堆積物からの曝露実験を行い、PBDEsの濃度増減の傾向と排泄・取り込み速度を算出した。その結果から、マコガレイ体内における脱臭素化が、体内の濃度減衰・増加を支配する要因であることが推察された。
 そのため、脱臭素化についての更なる知見を得ることが、PBDEsの生物濃縮機構を解明するために必要である。

今年度の研究概要

 本年度は、昨年度実施したin vivo, in vitro実験の両者の結果を踏まえて、in vitro実験にてPBDEsの肝臓における脱臭素化速度速を算出し、in vivo実験に適合させることを目的としている。
 また、肝ミクロソームによる代謝の受け方の比較を、PCBsなどの他の化合物や、ラットなどの他の生物種との比較を実施することにより、魚類のPBDEsにおける脱臭素化の位置づけを明確にする。

備考

平成22年度はJSPS特別研究員(DC2)として出身大学を受入研究機関にしていたが、
平成23年度は資格変更・所属変更を行い、JSPS特別研究員(PD)として国立環境研究所を受入研究機関としている。

課題代表者

水川 薫子