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未利用リン資源の有効活用に向けたリン資源循環モデル開発(平成 24年度)
Material flow analysisi (Phosphoras)

予算区分
BE 環境-推進費(補助金)
研究課題コード
1112BE001
開始/終了年度
2011~2012年
キーワード(日本語)
物質フロー分析,りん,産業連関分析
キーワード(英語)
material flow analysisi, Phosphoras, Input-Output Analysis

研究概要

 世界的な食料需要増大、バイオ燃料生産増を受けて、リン資源の需給逼迫が懸念されているが、下水汚泥や鉄鋼スラグ中にリンが含まれることは知られている。このような未利用のリン資源を有効に活用するためには、リンが具体的にどのような形状でどの程度社会に流通し活用され、廃棄物中に含まれるリンがどの程度発生し、また、どのような手段によって資源としての再活用が可能かを明らかにすることが必要である。
 このようなことから、本研究では第一に、リンの形態別、純度別物質フローを整備することを目的とする。第二に、未利用リンの回収、再資源化技術について、それぞれ何がどのような形状・純度で回収可能で、どのために必要な資源・エネルギーはどの程度なのか調査を行う。最後にリン資源循環分析用WIO-MFAモデルを用いたシナリオ分析を行うことで、リン資源に関わる廃棄物・資源管理戦略について検討することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

【全体】
本研究は、(1)リン資源に関するマテリアルフロー分析(MFA)、及び(2)リン関連財の生産ならびに未利用リン資源の回収に関わるLCAと(3)モデルを用いたシナリオ分析で構成される。

(1)リンのMFA
 経済活動に投入されるリン資源をリン酸、黄リン、赤リン、高純度赤リン等に分類してマテリアルフローを整備すると同時に、経済活動から排出される未利用リンについても排水、家畜糞尿、スラグ等について、その回収可能性を考慮しつつ発生量と状態を明らかにする。
(2)リン関連財の生産とリンの回収、アップグレードに関わるLCA
 リンの需要は半導体部門における高純度赤リンから肥料用途のリン酸までその形態、純度によって幅広い。肥料、農薬、化合物半導体原料等のリン関連財の生産に関わるインベントリ分析を行い、再資源化物を用いる可能性がどれほどあるのか、導入に関わる課題について検討を行う。さらに酸洗浄、微生物を用いたハイドロキシアパタイト晶析法、磁気分離等の未利用リン資源の回収に関わるインベントリ分析を行う。用途によっては、鉱石から不純物、重金属類を除去・精製して生産を行うプロセスよりも、汚泥やスラグといった廃棄物に含有される未利用リン資源をアップグレードする方が資源・エネルギー投入が少なくて済む場合もある。
 ここでは回収ターゲットとその用途別に、未利用リン資源の回収・アップグレードに関わるインベントリ分析を行い、(3)の資源循環分析モデルに接続する基礎データの収集を行う。

(3)リン資源循環分析用WIO-MFAの整備と廃棄物・資源管理戦略の検討
上記のマテリアルフロー分析、インベントリ調査をベースとしてWIO-MFA表を整備するとともに、回収リン資源と需要部門とのマッチングを行い、リン資源循環に関わる環境負荷推定を行うとともに、未利用リン資源有効活用に向けたシナリオの分析を行い、資源性、有害性の観点からの廃棄物・資源管理戦略について分析する。

【担当】
上記(1)に関連して、国際サプライチェーン分析を担当する。具体的には、WIO-MFAモデルおよび統計情報を用いて、貿易に伴う資源・製品等の移動量を把握するとともに、国際サプライチェーンに随伴するバイオマス資源の移動量、リン資源の移動量の把握を行う。

今年度の研究概要

【全体】
リン肥料の施肥は農業生産に関わる重要な要素であり、また高純度赤リンは半導体生産等に用いられるなど、リンは我が国の経済に重要な資源である。しかしリン鉱石産出国の一部では自国の資源を守るために輸出規制を行うなど、世界的に需給逼迫が懸念されている。
家畜糞尿、汚泥等に含まれるリンの回収については、これまでにも水環境の富栄養化防止の観点からも積極的に技術開発がなされてきた。しかしながらリンはその純度や形態等で用途が限られており、廃棄物から回収されるリンがすべての用途で用いることができるわけではない。このようなことから、本研究では、リンの形態別、純度別のマテリアルフローを整備し、さらにリン資源フロー分析用統合産業連関モデル(Integrated Phosphorus Cycle Input Output Model: IPCIO)を整備することで、我が国におけるリン資源有効活用の観点から見た廃棄物処理・再資源化技術のあり方を考察する。

【担当】
H23年度に引き続いて、国際的な資源・製品の貿易に伴うバイオマス資源量の把握、リン資源量の把握を行う。また、バイオマス系のリン資源のみならず、無機系のリンの資源量についても合わせて把握を行うことを目指す。更に、整備したデータの解析および可視化を進める。

外部との連携

研究代表者:松八重 一代(東北大学、准教授)

備考

当課題は、重点プロジェクト1「国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理」および重点プロジェクト3「地域特性を活かした資源循環システムの構築」にも関連

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
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