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環境リスク研究分野の概要(平成 25年度)
Environmental Risk Research

研究課題コード
1115FP030
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
環境リスク,化学物質,曝露評価,健康リスク評価,生態リスク評価
キーワード(英語)
Environmental Risk, Chemicals, Exposure Assessment, Health Risk Assessment, Ecological Risk Assessment

研究概要

 環境リスク(人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれ)への対応が予防的に行われ、安心が確保されている社会の実現が求められている。化学物質のリスクについては、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で化学物質が使用・生産されるという、「WSSD2020年目標」の達成を目指して、人の健康や生態系に与えるリスクを総体として把握し、大きなリスクを取り除くための施策の推進が始まっている。化学物質による環境リスクの管理を一層徹底するとともに、予防的対応を念頭にリスク管理・評価手法を高度化する観点から、化学物質等の未解明なリスクや脆弱性集団に対するリスクの評価・管理に資するリスク評価手法の確立が必要とされている。
 そこで、環境リスク要因の同定、曝露経路及び動態の解明と曝露評価法、有害性評価に資する機構解明と健康リスク評価法、生態影響評価に関する機構解明、試験方法及び生態リスク評価法、並びに環境政策に求められるリスク評価・管理に関する調査・研究を実施する。特に、ナノマテリアルの影響評価のための試験法開発、化学物質の生態リスクの生態系保全の観点からの整理、化学物質のリスク管理戦略の研究を「重点研究プログラム」の中で重点的に進める。生態影響試験に関する標準機関(レファレンス・ラボラトリー)、環境リスクに関する化学物質データベースの整備を実施する。また、化学物質のリスク評価等の政策支援を的確に実施する。
 具体的には、以下の方向で研究を推進する。
1、化学物質の生態影響、健康影響、および曝露評価に関する基盤的な研究を進め、環境行政における試験評価手法の検討およびリスク評価の実施に対して科学的な基盤を提供するために必要な手法の開発とデータの整備に関する研究を行う。
2、化学物質の構造−活性相関、及び、ベイズ法などの統計的推定手法に基づく毒性予測手法を高度化し、不確実性を踏まえた定量的毒性予測の手法を開発する。
3、GIS多媒体モデルや排出シナリオなど、環境分布や排出・曝露状況の解析が可能な数理解析手法を、化学物質のリスク評価の実施への適用ができるよう解析手法の検討を進める。
4、環境中の多様な化学物質の複合曝露と影響の実態把握とリスク評価に向けて、高感度測定法や網羅的測定法及び生物応答試験法等を開発・高度化し、さらに必要な情報の整理を行う。
5、二次生成粒子等の粒子状物質の有害性評価手法を確立するため、細胞を用いたin vitro試験方法と実験動物を用いたin vivo吸入試験手法の開発を行う。
6、環境要因の生態系攪乱機構を解明するために、化学物質、貧酸素水塊等重要な環境因子の影響実態を把握するフィールド調査及び実験的研究を行う。
7、生態系に対する様々な環境かく乱要因のリスク評価・管理手法を提示するために、化学物質に対する生物の耐性変異に基づく生態リスク評価、農薬の複合曝露・複合影響の評価法、侵入種の分布拡大モデルに基づく最適管理などの個別課題の研究を進める。
8、化学物質の環境リスクに関する最新の研究動向や社会情勢を反映しつつ、生態影響試験に関する標準機関(レファレンス・ラボラトリー)機能と化学物質データベースを整備し、リスク評価ツールの更新を行う。
9、環境リスク評価の実施や指針値の策定等の環境政策の実施を的確に支援できるよう、化学物質の健康影響と生態影響の評価に必要な有害性や曝露にかかわる情報を体系的に収集し提供する。

課題代表者

青木 康展