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鳥類を用いた発達神経毒性評価法開発に向けたフィージビリティスタディ(平成 25年度)
Feasibility study for establishment of method to assess developmental neurotoxicity in birds

予算区分
AN 新発想
研究課題コード
1313AN003
開始/終了年度
2013~2013年
キーワード(日本語)
鳥類,脳,胚,環境化学物質
キーワード(英語)
birds, brain, embryo, environmental chemicals

研究概要

鳥類(主にニワトリ)の卵を用いて、胚に孵卵直後から孵化前後まで化学物質を曝露した後、ヒナの(1)脳の構造と遺伝子発現、(2)行動、を評価することで、学習および脳の性分化への影響を検出する新たな発達神経毒性評価法の構築が可能か検討するフィージビリティスタディを行う。
 化学物質が子どもの健康に及ぼす影響に関して国民の関心は高く、曝露影響を受けやすい発達期の脳への影響は特に重点的に評価すべき対象である。国環研ではこれまでにインテリケージを用いてマウスの行動柔軟性を検出する発達神経毒性評価法を開発・運用しているが、複雑な脳の発生・発達に対する評価は単一の試験法では十分ではなく多面的な検討が必要である。本研究では鳥類を用いる優位性(視覚の発達/高い学習能力/速い発達速度、等)を生かした神経毒性評価法構築を試み、安心、安全な環境作りに貢献する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

曝露物質と曝露方法:曝露物質として既報からそれぞれ学習と性分化における影響が報告されているバルプロ酸(VPA、抗精神薬・てんかん薬)とエチニルエストラジオール(EE2、合成エストロゲン・避妊薬)を選定した。VPAに関しては、受精卵を神経管が形成される1.5日胚にまで成長させ、卵殻に窓を開けることで神経管を目視し化学物質投与を行う。また、EE2に関しては、性腺分化後(孵卵開始後8〜10日目)に卵内に投与する。
 学習や脳の性分化と関連した構造・遺伝子発現変化への影響評価:ヒナを用いた代表的な早期学習モデルとして孵化直後に親の色や形を覚える刷り込み行動がある。前川はこの行動の制御に関わる「終脳」領域の神経伝達経路と分子機構を既に明らかにしている(実績1〜3等・図参照)。学習に関しては、孵化前後(孵卵開始後21日程度)のヒナの「終脳」に着目し、VPA曝露により構造と遺伝子発現に異常を来すか検出を試みる。一方、性分化に関しては、性腺からの性ホルモンの影響を受けやすい領域として「視床下部」分界条床核AVTニューロンを報告しており(実績5参照)、EE2曝露による解剖学的な異常の検出を試みる。
 刷り込みを指標とした行動影響評価:北里大学・浜崎浩子教授に協力を仰ぎ、VPA曝露したヒナに関して刷り込み行動実験を行い、認知・学習行動異常の検出を試みる。

今年度の研究概要

単一年度の研究の為、前項と同じ。

外部との連携

北里大学 一般教育部 浜崎浩子教授との共同研究

関連する研究課題

課題代表者

前川 文彦

  • 環境リスク・健康領域
    生体影響評価研究室
  • 主幹研究員
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担当者