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放射性同位体を全く使用しない細菌生産速度測定法の開発と確立(平成 26年度)
Development of nonradioactive method for the measurement of bacterial secondary produciton rate

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1315CD005
開始/終了年度
2013~2014年
キーワード(日本語)
細菌二次生産,非放射性同位体
キーワード(英語)
bacterial secondary production, nonradioactive isotope

研究概要

従属栄養細菌(バクテリア)は、水環境中における食物網や物質循環に非常に重要な役割を担っている。バクテリアの生産速度は,一般的に,放射性同位体で標識されたチミジンやロイシンの取込み速度を測定することで求められる。しかし放射性同位体の野外使用が厳しく制限されている我が国では、当該手法を適用することは極めて困難である。そのため、我が国では、水環境,特に陸水におけるバクテリア生産に関する報告はほとんどなされていない。

本研究では、放射性同位体を全く使用せずにバクテリア生産速度を測定する方法を開発・確立する。当該方法の開発・確立は、我が国のみならず,地球規模でバクテリア生産や水系の炭素循環に係る知見が飛躍的に増大することが期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

放射性同位体を全く使用しない細菌生産速度測定法の開発・確立を成し遂げるため,以下の研究を実施する。
(1)バクテリアDNA抽出・酵素加水分解前処理操作におけるDNA抽出効率の検討する。
(2)5つの窒素を全て15Nで置換したデオキシアデノシン(15N-dA)とブロモデオキシウリジン(BrdU)誘導体のLC/MS測定における最適条件を求める。
(3)15NdAとBrdUの添加濃度と培養時間の最適条件を求める。
(4)実際の湖水を対象として,15NdA+LC/MS法とBrdU誘導化+LC/MS法と既存の測定法(チミジン法と従来のBrdU法[化学発光法])の比較検討を実施する。

今年度の研究概要

海洋では15N-dAの取込み速度は3H-TdRと比べて高い値を示し、湖沼ではその逆の傾向を示した。バクテリアの分類群によって、外部から取込んだヌクレオチドをDNA合成へ使用できる能力の多寡が報告されている。また、TdRとdAは水中ではそれぞれ負、正に帯電していると考えられるため、水サンプルに添加した際に、懸濁・溶存物質への収着などにより、これらの基質の可用性が異なり、細菌の取込み速度の違いをもたらす可能性がある。本年度は、バクテリアの分類群による取込み能の違いなどの生物学的側面と、基質の水中での可用性の違いなどの物理化学的側面の両面から、15N-dAと3H-TdRの取込み速度の違いをもたらすメカニズムを評価する。

外部との連携

共同研究者:土屋健司(創価大学)、川崎伸之(マレーシア・セランゴール大学)、浜崎恒二(東京大学)

関連する研究課題

課題代表者

今井 章雄

担当者

  • 佐野 友春