ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

農薬の環境影響調査(平成 26年度)
Environmental impact of pesticides

予算区分
BX 環境-その他
研究課題コード
1414BX001
開始/終了年度
2014~2014年
キーワード(日本語)
ネオニコチノイド,トンボ,フィプロニル
キーワード(英語)
neonicotinoid, dragonfly, fipronil

研究概要

残効性・浸透移行性の高い農薬であるネオニコチノイド系及びフィプロニルの環境中への残留実態及びトンボ等水生節足動物類への毒性に関する情報について把握するとともに、環境中のネオニコチノイド系及びフィプロニルの残留状況がトンボ等水生節足動物類の生息状況に及ぼす影響を調査する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

ネオニコチノイド系、及びフィプロニルの環境中への残留実態を、水及び土壌サンプルの採集と分析により把握する。また、ネオニコチノイド系、及びフィプロニルがトンボ等水生節足動物類に及ぼす影響について、先行研究を検討すると共に、野外の生息実態調査、及び急性毒性試験等の結果と先の残留農薬実態の結果とを照らし合わせることにより関係性を検討する。

今年度の研究概要

1.農薬の生態影響に係る検討調査
1.文献調査等
全国におけるトンボ等の生態や農薬のトンボ等への毒性等について既存の文献及びヒアリングによりデータを収集・整理する。具体的には以下の通り。
(1)ネオニコチノイド系農薬等及びそれらの代替候補農薬のうち主要な農薬によるトンボ等生態影響に関する知見の収集
生態系関連の既存の文献データから、各地域におけるトンボ等の生態・生息状況(ネオニコチノイド系農薬等及びそれらの代替候補農薬のうち主要な農薬の使用量が増加する前後におけるデータを含む)、また全国的に減少傾向であると言われている生物種についてはその原因究明を行った研究等の情報を関係者へヒアリングする等して収集・整理し、ネオニコチノイド系農薬等及びそれらの代替候補農薬のうち主要な農薬が原因とされているものがあればその根拠を取りまとめる。
(2)ネオニコチノイド系農薬等及びそれらの代替候補農薬のうち主要な農薬のトンボ等への毒性評価に関する知見の収集
次にネオニコチノイド系農薬等及びそれらの代替候補農薬のうち主要な農薬に係るトンボ等の毒性データ(急性致死、急性亜致死、慢性致死、慢性亜致死)を収集・整理し、トンボ等に対する影響の有無をどのように判断しているか整理した上で、どのように判断すべきか検討する。
 さらに不足しているトンボ等の毒性データを収集するため、どのような毒性試験を実施すればいいか検討した上で、飼育方法を含めた試験方法の検討・開発を行うための予備的な実験(現在の農薬テストガイドライン(「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日付け12農産第8147号)等や「OECD GUIDELINE FOR TESTING CHEMICALS」)を基にした試験によりトンボ等の半数致死濃度もしくは半数影響濃度もしくは無影響濃度等を算出)し妥当性の検討を行った上で課題を抽出する。
(3)トンボ等への影響に関する考察
環境省が別途実施する「平成26年度農薬水域生態リスクの新たな評価手法確立事業委託業務」で得られる、河川における環境中予測濃度(以下「PEC」という。)と(2)で収集・検討した毒性データから、我が国におけるトンボ等へどのような影響が懸念されるか考察し、取りまとめる。
(4)欧州食品安全機関(以下「EFSA」という。)におけるリスク評価方法の妥当性検証等
ネオニコチノイド系農薬等に対するEFSAにおけるリスク評価の方法の妥当性を検証し、我が国に適用することを想定し、より適切な方法に修正する。
 そして、我が国における使用にあたってのリスク評価を試行的に実施する。その際、足りないデータを明らかにするとともに、どのようにデータを補うか、考察し、我が国の実情を踏まえたリスク評価を行うための計画案を作成する。
(5)実態調査
トンボ等の産卵・生息箇所として確認されている湖沼・溜池・水辺や里地里山(以下「湖沼等」という。)の中から、調査対象とする湖沼等7箇所程度を抽出する。これら湖沼等7箇所程度において、トンボ等の生息状況を把握するため、どのような調査を行えばいいか検討した上で、具体的な調査時期・調査ポイント・調査事項・調査方法を含むトンボ等生息実態調査計画を策定し、予備的な調査を行う。また、これら湖沼等7箇所程度において、水及び底質層のネオニコチノイド系農薬等の濃度を把握するため、試料の採取を実施する。そして環境省が別途発注する分析業者に対し、採取した試料を送付する。
 調査時期は、農薬の使用している時期と使用していない時期(各調査地域につき3回程度)とし、試料の採取の際の、水温、周辺環境や気象データの収集等その他必要な事項を記録する。
(6)平成27年度湖沼等残留実態調査の計画策定
環境省が別途実施する業務において算出した、各県(あるいは各流域)におけるネオニコチノイド系農薬等の河川におけるPECを踏まえ、地域や適用農作物等のバランスを考慮の上、ネオニコチノイド系農薬等の環境中への残留・蓄積実態の全国的な状況を代表しうる、トンボ等の産卵・生息箇所となりうる湖沼等選定の考え方を整理し、平成27年度に調査を実施する、具体的な候補を抽出する。
 また平成27年度調査の候補である湖沼等における、具体的な調査時期・調査ポイント・調査事項・調査方法を含むトンボ等生息実態調査計画を策定する。

外部との連携

日鷹一雅(愛媛大学大学院農学研究科准教授)

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

五箇 公一

  • 生物多様性領域
    生態リスク評価・対策研究室
  • 室長(研究)
  • 農学博士
  • 生物学,農学,化学
portrait

担当者

  • 笠井 敦