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ナノマテリアルの毒性評価手法の開発と安全性に関する研究(平成 27年度)
Development of toxicity and safety evaluation methods for nanomaterials

研究課題コード
1115AA032
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
ナノマテリアル,毒性,安全性評価
キーワード(英語)
nanomaterial, toxicity, safety evaluation

研究概要

国内においては、新規化学物質を一定量の生産や輸入をする場合は化学物質審査法に基づく安全性試験を実施することが生産者や輸入業者に義務づけられている。化学物質の安全性評価ガイドラインは、環境汚染物質としての代表物質(PCBなど)を想定して策定されているが、そのガイドラインを種類の異なる化学物質等にも直接適用されている。このため、不溶性の粒子状物質に対しては適切な試験方法がないのが現状であり、試験困難物質として位置づけられている。 近年生産量が増え続けているナノマテリアルの安全性評価において、OECDやISO等の国際機関が重要課題として取り上げており、また第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)においても、新規課題として「ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料」が取り上げられたところである。 本プロジェクトでは、ナノマテリアルの中でも特に生産量が多い、ナノ酸化チタン、ナノ銀、カーボンナノチューブについて安全性評価に関する研究を進める。

今年度の研究概要

(1)ナノマテリアルの曝露方法と実効曝露量に関する研究
粒子状物質の生体・生態影響を調べるためには、水系であればまず安定した懸濁状態をつくる必要がある。また、気相系であれば分散性の高いエアロゾルを発生させる必要がある。水系においても気相においても、粒子の分散状態そのものが試験結果に大きな影響を与えることが考えられるが、標準化された方法はない。ここでは、ナノ粒子の分散や安定性に関する研究を行う。
(2)ナノマテリアルの生体影響評価法に関する研究
ナノ物質などの不溶性粒子状物質は、物質の界面と生体(細胞表面など)との作用により影響が現れるため、体内への吸収から始まる通常の化学物質の影響とは根本的に考え方が異なる。ナノ粒子は大きな比表面積をもち組織反応性が高い。 吸入したナノ粒子がどのように細胞や組織と反応するのか明らかにするために、培養細胞や動物を用いた試験を行う。ヒト健康影響が強く懸念されているカーボンナノチューブ、及びデオドラントスプレーなどに用いられているナノ銀、粒子形状が生体に及ぼす影響を明らかにするためにデンドリマーなどを用い、粒子の性状と標的臓器・細胞における毒性との関連を明らかにする。 
(3)ナノマテリアルの生態毒性試験法に関する研究
野生生物(特にメダカやミジンコなどの水棲生物)に対するナノマテリアルの有害影響について、既存の試験法を踏まえた上で、適正な曝露の手法とそれを用いた毒性試験法を開発する。生産量が多いナノ酸化チタンなどを用いて、粒子物性と生態毒性の関係について明らかにすることにより、ナノマテリアルの野生生物に対するリスク評価に資するための毒性研究を行う。 

課題代表者

平野 靖史郎

担当者