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環境汚染物質曝露による小児・次世代への健康影響の機構解明と評価システムの構築に関する研究(平成 27年度)
Mechanism and evaluation system of the developmental health effects of environmental factors

研究課題コード
1115AA082
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
エビジェネティクス,アレルギー,環境化学物質,無機ヒ素,後発影響
キーワード(英語)
epigenetics, allergy, environmental chemicals, inorganic arsenic, late-onset effects

研究概要

小児における心身の異常が世界的に増加しており、この科学的評価と原因の解明、適切な施策が急がれている。また、環境要因に対する感受性が高く、その影響が小児期ばかりでなく生涯にわたり、さらに継世代的にも及ぶことが懸念される胎児期における環境要因の影響評価が必須と考えられる。
 本研究センターには「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のコアセンターが設置され、種々の環境因子とともに、化学的要因と健康との関連性を疫学的に解析、評価するための研究、調査管理が行われている。そこで本プログラムでは、化学物質の影響に主眼を置き、エコチル調査の推進に寄与する化学物質の分析法や曝露評価モデル、疫学的解析手法の開発を行う。また実験的研究によって化学物質の発達期(胎児期、乳児期・小児期)曝露の生涯および継世代影響を含む生体影響を明らかにし、さらに発達期曝露に特有な化学物質の作用メカニズムの解明を行う。この研究により、環境汚染物質をはじめとする環境因子が小児・次世代に及ぼす影響を、疫学的、実験的研究の双方向から評価、解明することをめざし、影響の低減、未然防止に貢献する。

今年度の研究概要

 妊娠期に無機ヒ素曝露を受けたマウスから生まれた仔世代(F1)および孫世代(F2)の肝腫瘍の遺伝子発現変化を検討し、それぞれの世代において肝腫瘍増加につながる経路を推定する。
無機ヒ素を含む化学物質の胎児期曝露が脳の機能や神経回路形成に及ぼす影響を動物モデルを用いて詳細に検討し、曝露影響作用機構を解明する。
無機ヒ素によるリンパ球増殖抑制の機序について、エピジェネティクスの関与を検討する。
 影響が最も顕著であったBPAの若齢期曝露について、実環境中で経気道的に曝露されうるより低用量での実験を行い、病態に及ぼす影響と免疫系、神経系の変化について解析する。本研究により、アレルギー性喘息における免疫系、脳神経系に及ぼす影響とその作用機構を明らかにするとともに、疫学研究において優先的に調査すべき化学物質や評価手法の提案につなげることで、環境汚染物質が小児・次世代に及ぼす影響の低減、未然防止に貢献できる。

課題代表者

野原 恵子

担当者