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高解像度水中音響撮影と環境DNAを併用した絶滅危惧淡水魚イトウのモニタリング技術開発(平成 27年度)
Development of monitoring techniques for the endangered Sakhalin taimen using the high-resolution sonar video camera and the environmental DNA

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1515NA001
開始/終了年度
2015~2015年
キーワード(日本語)
イトウ,絶滅危惧種,音響ビデオ撮影,環境DNA
キーワード(英語)
Sakhalin taimen, endangered species, sonar video capturing, environmental DNA

研究概要

幻の魚イトウは北海道に生息する絶滅危惧IB類に指定された希少種である。我々は道北・猿払川において、本種の遡上産卵期に音響ビデオカメラを用いた調査を行い、検出有効性をすでに実証している。一方、イトウの全道分布については未知な部分が多い。本研究では猿払川において、音響撮影技術の精度向上(イトウ遡上数推定及び近縁種との判別技術の確立)と河川水中のDNA解析(eDNA)による全道スケールでのイトウの分布推定を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

【内容】
 音響ビデオカメラは超音波を用い昼夜を問わず高解像度な水中撮影を可能とする。本装置により日々遡上するイトウの親魚数を正確に記録する一方、定期的に河川水を採取し、そのDNA解析を行う。イトウに特異的なDNA断片を定量し、河川水採取時の親魚数(撮影された動画から推定)との関係を求める。また数で上回る稚魚から放出されるDNA断片の寄与率を求めるため、稚魚の生息密度をいくつかの支流で推定する。親魚、稚魚の密度に応じた水中のDNA密度のベースラインを猿払川で取得した後、北海道全域から河川水を採取し、イトウの在不在、また可能であれば生息数を推定する。音響撮影については魚体の形態や行動を元に近縁種(サクラマス)との判別能力を高める。

【期待される成果および活用方法】
 2つの異なる技術開発により本希少種の生態解明と保全に大きく貢献する。イトウは世界的にも分布が限られ(北海道と極東ロシア)、現在も人間活動による様々な脅威にさらされている。その生息状況が、河川水を分析するだけで分かればまさに画期的な成果であり、主に本種の保全に向けた様々な活用が期待される。かつて国内の45河川水系に生息記録が残るイトウだが、現在は北海道の11水系にのみに残存する。eDNAがこれらすべての水系で本種を検出するか、あるいは絶滅したと考えられている河川からもDNAが検出されるかが注目される。
 音響撮影は当初、軍事目的に開発された技術であるが、生態学また水産資源管理への応用が急速に増えている。eDNAはさらに新しい技術であり世界的にも注目され、国内でもいくつかの研究機関で技術開発が進められている。これら新規性の高い、まったく異なる技術を組み合わせていること、かつイトウが社会的にも関心の高い、シンボリックな生物であることから、本研究の成果は広く活用され、希少淡水魚の保全に有効に機能することが期待される。
 なお音響ビデオカメラは国立環境研究所がH27年度に購入。eDNAの分析に必要な機器類(DNAシーケンサーなど)は共同研究を行う北海道大学のものを使用する。操作実験はさけます内水面水産試験場(北海道)にて行う。

今年度の研究概要

北海道宗谷郡猿払村・猿払川支流にて音響ビデオカメラによる産卵遡上するイトウ親魚の撮影とカウント(4月下旬から約1か月間)

さけます内水面水産試験場(北海道恵庭市)において、密度を変えたイトウから溶出される環境DNA量の変化を定量するための操作実験を行う(6月)

得られたデータの解析

外部との連携

北海道大学大学院農学研究院 荒木仁志教授

北海道立総合研究機構 さけます・内水面水産試験場 卜部浩一

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題
  • 0 : 地域環境研究分野における研究課題

課題代表者

福島 路生

  • 生物・生態系環境研究センター
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 水産学博士
  • 水産学,農学,生物学
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担当者