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多媒体環境における放射性物質の動態解明及び将来予測(平成 28年度)
Analysis and Prediction of Radioactive Substances Behavior in Multimedia Environment

予算区分
AS 災害環境研究
研究課題コード
1620AS003
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
モニタリング,モデリング,環境回復,環境管理,環境影響評価
キーワード(英語)
monitoring, modelling, envrionemtal recovery, environmental management, environmental assessment

研究概要

これまでの成果や知見を踏まえた戦略的な環境動態計測によって、生態系を含む流域環境における放射性物質の移行実態を把握するとともに、多媒体環境における予測モデリング技術の精緻化を図る。それらを踏まえた動態計測とモデリングの統合アプローチによって、生活再開に伴う移行変化の把握、被ばく評価と低減策の提案などの長期的環境影響評価に基づく、生活環境リスク管理手法の構築・適用を行うとともに、福島県等の被災地における長期的な環境モニタリングの在り方の検討ならびに原子力災害発生時の初期モニタリング・環境管理に関する技術的指針の作成を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

「流域圏における放射性セシウムの動態解明」で、福島県浜通り地方北部河川流域を主な対象として、1)Cs-137のストックとフローの定量評価を目的とした動態計測を継続実施する。2)特に、森林域やダム湖等受水域において、生物に利用され易い可給態セシウムの挙動に係る実態把握と、大規模除染や住民帰還等に伴う土地利用変化が可給態セシウムの挙動に及ぼす影響評価を動態計測と室内実験等を通じて実施する。3)また、森林や水界生態系におけるCs-137の移行実態の把握と将来予測を、生物調査や安定同位体を用いた食物網解析、数値モデルの開発と適用によって実施する。
「広域多媒体モデリングによる放射性物質の環境動態解明と中長期将来予測」では、1)大気モデルを利用した再飛散のCs-137の濃度場への寄与評価や、事故直後のI-131とCs-137の大気濃度場の再現、2)陸域モデルを利用したCs-137のストック・フローの時空間変動予測や除染対策、空間線量率の変化の将来予測、3)沿岸海域モデルを利用した東日本太平洋の極沿岸域における海底土Cs-137時空間分布の長期・広域予測、および松川浦等の閉鎖性水域におけるCs-137の動態予測とモデルの検証・改良を実施する。
サブテーマ間ならびにPG1PJ4との連携によって、大気−陸域−海域の相互作用の精緻化、事故直後における初期動態評価の高精度化、中長期将来予測および各種対策の効果評価、被ばく量の将来予測を実施するとともに、事故直後の被ばく量評価や事故初期の流域管理が放射性セシウムのストックとフローに及ばす影響を定量評価する。

今年度の研究概要

・福島県浜通り北部地方において、放射能汚染の状況が異なる複数の河川流域を対象に、主に森林域やダム湖における可給態Cs-137挙動把握を目的とした調査・実験と、河川やダム湖における水生生物調査等と安定同位体を用いた食物網解析を行う。これにより、高汚染森林流域からの溶存態Cs-137流出機構の解明、ダム湖底泥からのCs-137溶出実態の定量把握、環境要因を考慮した各魚種へのCs-137移行モデルを構築する。
・放射性セシウムの大気中への再飛散のモデル精緻化、陸域での広域フロー・ストック解析および宇多川流域を対象とした森林詳細モデルの検討、閉鎖性水域・極沿岸域における水底堆積放射性セシウムの時空間分布を予測するモデルの開発を進める。これにより、放射性セシウムの大気中への再飛散モデルの評価、陸域での広域フロー・ストック量の試算、ダム湖・松川浦等における水底堆積放射性セシウムの時空間分布観測および動態モデルの精緻化・検証を実施する。

外部との連携

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 舟木泰智・佐久間一幸

課題代表者

林 誠二

  • 福島地域協働研究拠点
  • 研究グループ長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,林学
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担当者