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環境創生の地域シナリオ解析モデルの開発(平成 28年度)
Development of assessment model to regional scenarios for environmental creation

予算区分
AS 災害環境研究
研究課題コード
1620AS008
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
震災復興,環境創生,低炭素社会,地域エネルギー,技術評価,気候変動適応
キーワード(英語)
Disaster reconstruction,Environmental creation,Low carbon society,Regional energy,Technology assessment,Adaptation to climate change

研究概要

福島県の浜通り地域を対象として自治体、企業と連携して進めてきた復興まちづくり支援の地域解析と計画、評価の社会実装研究を発展させて、復興地域の環境と社会経済特性を将来にわたり解析し、地域の環境・エネルギー資源を活用する技術・制度システムを短期から長期にわたり計画・評価する環境創生モデル事業の設計手法を開発する。技術と社会制度を組み合わせた復興の将来シナリオを構築して、その実現による環境面、社会経済面での効果を評価するとともに、住民、自治体、企業等の地域のステークホルダーと連携した社会実装のプロセスを開発する研究に取り組む。具体的には福島県の環境創生を推進する低炭素、資源循環、自然保全・再生の技術・施策のインベントリーの整備、都市・地区スケールでの時系列での技術・制度導入効果を算定できる「技術・社会システムのアセスメントシステム」の開発、福島県自治体で先導的に計画と整備が進む復興拠点事業の広域での波及効果を算定して、持続的な復興ロードマップを「拠点展開型(フォアキャスト)」で設計するフレームワークの開発を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

要素技術インベントリーを整備して、その時系列での将来的な技術効率の推定モデルを開発し、地域条件に応じた適正な技術・制度システムを同定する「技術・社会制度のアセスメントシステム」を開発する。これらのシステムは復興自治体の拠点事業の計画検討に適用することによって、その利用性を高めるとともに、システムの検証を進める。具体的には、自然エネルギー、熱電エネルギー併給システム、コミュニティ・エネルギーマネジメントシステム、産業共生生産システム、木質系バイオマスシステム、スマート農業システムに関する技術インベントリーを構築する。地区レベルの環境エネルギー技術選定支援モデルを、まずは新地駅周辺地区の拠点事業に特化した形式で開発し同事業を支援する。1年をめどにPG2PJ1で計算された将来人口及び産業活動を福島県浜通り北部地域を対象としてダウンスケールし将来の土地利用状況を予測し、拠点事業の水平展開可能性を評価する。3年をめどに新地駅周辺事業における計画支援の成果を踏まえた上で、バイオマス利活用とその影響評価等も含めた分析が可能なようにモデルの改良と拡張を実施し、地域エネルギーの導入ポテンシャルを評価するとともに自治体・企業等との連携を通じモデルの利用性を高め「技術・社会制度のアセスメントシステム」として整備する。5年をめどに福島県自治体で先導的に計画と整備が進む復興拠点事業の広域での復興の波及効果を算定するシステムを開発する。これらを通じて、環境創生の拠点事業の計画から将来の持続的な復興ロードマップを計画する「拠点展開型(フォアキャスト)」の計画フレームワークとして整備し、自治体の計画策定等に貢献する。

今年度の研究概要

 新地町駅前再開発事業における連携による共同研究は引き続き行いつつ、スマートコミュニティ実証研究事業などの計画を共同で行った。具体的には、平成28年末のJR常磐線の復旧とともに進む新地駅周辺区画整理事業での地域エネルギー事業の具体的な検討をする産官学連携コンソーシアムの中で、新地町での検討を支援する研究を進めた。環境省グリーンプラン・パートナーシップ事業FS調査ととともに、経済産業省スマートコミュニティ事業のマスタープラン作成に、貢献しており、福島県のイノベーションコースト事業の先導的な事業として位置づけられている。復興に伴うまちづくり、地域事業の要請が多様化することに伴い、東京大学アーバンデザインセンター(UDC)および企業グループとの研究を新たに強化して、地域の政策ニーズ、事業ニーズを幅広く明らかにするとともに、外部の専門家とのと連携し共同研究の体制を構築した。
 また、新地町で培ったグリーン復興拠点事業設計のノウハウを浜通り北部からほかの福島県の地域に展開を検討してきた。具体的には、自然エネルギーを利用した地方拠点研究の例として、福島県三島町との共同研究を開始し、定期的な研究打ち合わせを行った。豊富な森林資源から持続的に木質バイオマスを利用するための上流から下流までのシミュレーションを行うためのモデル開発に着手した。モデルは森林生態系、バイオマス生産、利活用にかかるフットプリントより構成される。今年度は森林情報の収集、自治体におけるバイオマス利活用のヒアリングを行った。また、地域の需給特性に応じた最適エネルギーシステムを選定できるモデルを構築し、三島町内の中心市街地(新築住宅施設、病院施設などが隣接している地区)に適用することで、バイオマスボイラーと太陽光発電からなる複合的なシステムの導入効果について、コスト削減やCO2削減等の観点から検討を行った。これらの結果は三島町におけるエネルギー計画に活かされるだけでなく、奥会津地域や福島県内における再生可能エネルギー利活用に有益な知見を与えた。
 さらに、環境創生拠点の形成が雇用や地域経済等に与える波及効果を定量的に分析するモデルを構築することで、地域AIM(Asia-Pacific Integrated Model)モデルで計算される将来人口、産業活動等のマクロ情報と拠点計画等のミクロ情報を整合的に統合する手法の開発に着手した。

外部との連携

東北大学大学院工学研究科、名古屋大学大学院環境学研究科、同大未来材料・システム研究所、大阪大学大学院工学研究科、高知工科大学理工学部、福島県、新地町、三島町、福島県内自治体

課題代表者

大場 真

担当者