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国内およびアジア地域の廃棄物埋立地における亜酸化窒素の発生・排出メカニズムの解明(平成 28年度)
Mechanisms of emission and generation of nitrous oxide from landfill in Asia region.

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1416CD010
開始/終了年度
2014~2016年
キーワード(日本語)
廃棄物埋立地,亜酸化窒素,発生メカニズム,排出量モデル
キーワード(英語)
landfill, nitrous oxide, Mechanisms of nitrous oxide generation, Emission model

研究概要

本研究では、廃棄物埋立地からの亜酸化窒素排出挙動を明らかにするための野外調査を実施するとともに、排出経路と排出量の増加要因を検証するための埋立カラム実験を実施する。得られた結果を用いて、埋立られる廃棄物、埋立地管理手法、立地気候帯を加味した亜酸化窒素排出量算定モデルを開発するとともに、既存のメタン排出量算定モデルと一体化した運用が可能なツールとして提示する。廃棄物管理手法を類型化した上で、モデルに投入可能な地域特異的な活動量・排出係数として導出する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

1)廃棄物埋立地からの亜酸化窒素排出実態
国内外の廃棄物埋立地調査を通じて亜酸化窒素の発生・実態調査を行い、排出経路の推定と中長期的な排出挙動の把握を行うとともに、排出要因の推定および排出係数の類型化を行うための埋立管理等に関する基礎情報を入手する。
2)廃棄物埋立地からの亜酸化窒素排出経路の同定
 埋立地の管理状態ならびに廃棄物中の窒素源ごとに類推される亜酸化窒素の排出経路についてカラム実験による検証を行う。埋立層内ガス組成、溶存態窒素の形態、ならびに埋立物中に存在する微生物機能をもとに、埋立地管理手法ごとの亜酸化窒素排出経路を同定し、反応速度・流動パラメータを算出する。
3)埋立地からの亜酸化窒素排出量算定モデルの開発
 野外調査およびカラム実験の結果を踏まえて、亜酸化窒素の発生時期や発生量を予測する論理式を開発するとともに、埋立地からの亜酸化窒素排出量を定量的に評価可能な算定モデルを示す。

今年度の研究概要

前年度までに得られた、国内外の廃棄物埋立地からの亜酸化窒素排出実態に係る現地調査結果を踏まえ、中長期的な排出挙動の推移に関するパラメータを、排出量算定モデルならびに排出メカニズムの実験的検証における条件設定にフィードバックする。
埋立地からの亜酸化窒素排出経路同定のためのカラム実験については、埋立地の管理状態ならびに廃棄物中の窒素源ごとに類推される亜酸化窒素の排出経路を確認する。生物系の廃棄物および無機系の薬剤・高分子材料由来の窒素化合物を対象として、亜酸化窒素排出挙動を再現・検証するカラム実験を実施する。亜酸化窒素排出経路の同定と、排出係数に関連するパラメータの導出を試みる。
さらに、メタン・亜酸化窒素の両者を含めた温室効果ガス排出量の削減のための維持管理上の方策について実験的に検討する。具体的には、埋立物の品質管理、排水管・排水層や中間覆土材調整による埋立地内の水位制御、表層およびガス抜き管の活用による酸素の浸透管理などについて、温室効果ガス排出に関する影響を定量的に導出する。
上記の検討を踏まえて、埋立地からの亜酸化窒素排出量算定モデルの開発をすすめる。メタンを含めた埋立地由来の温室効果ポテンシャルの評価が可能になるよう、既存のメタン排出量算定モデル(IPCC)と一体化した運用が可能なツールとしての開発を指向する。廃棄物に関する活動量、ならびに埋立地管理情報や気候帯に応じた排出係数を、いずれも既存の算定式であるメタン排出量算定モデルと同レベルの詳細度まで類型化する。

外部との連携

国内の自治体 (旭川市、滋賀県、大阪府) 、海外の自治体 (ラムチャバン市、ノンタブリ県、ヴィエチャン市) 、埼玉県環境科学国際センター、福井県衛生環境研究センター、千葉県環境研究センター、キングモンクット工科大学、カセサート大学、ラオス国立大学

課題代表者

石垣 智基

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 生物工学,工学,化学工学
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