- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1516CD002
- 開始/終了年度
- 2015~2016年
- キーワード(日本語)
- 高級脂肪酸,モニタリング,嫌気性処理
- キーワード(英語)
- Long-chain fatty acid,Monitoring,Anaerobic treatment
研究概要
廃グリースの資源化に関する研究が最近注目を集めはじめ、特に生物学的メタン化に関する研究が増加しているが、技術的な難しさから応用は進んでいない。その主要な制限因子は強い阻害作用を持つ遊離態の高級脂肪酸である。そのため高級脂肪酸の濃度を監視し、脂肪酸が過度に蓄積しないよう廃グリース投入量を適切に制御することが必要であるが、現場で利用可能なモニタリング手法が開発されていない。本研究では、高級脂肪酸の新規な現場モニタリング技術を開発して、安定性に問題のあるプロセスの運転管理に応用して、その有効性を評価する。具体的には以下の3点を目標として研究を進める。
(1-1)冷却晶析と水晶振動子を組み合わせた高級脂肪酸モニタリングシステムの作成。
(1-2)振動子表面修飾による高級脂肪酸検出を用いたモニタリングシステムの作成。
(2)上記システムの実用的な濃度域での高級脂肪酸定量性の確保・最適化。
(3)上記システムが廃グリースメタン発酵において生じる高級脂肪酸の蓄積過程を日単位で捉え、阻害の兆候を察知することを可能にする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
27年度は、まずシステムの構築を行い、不純物の少ない純粋な水溶液系で実験を行う。システムの構築後、高級脂肪酸の結晶成長速度最適化のための基礎検討を実施する。
28年度は、多様な不純物を含む発酵液を使った実験を行う。まず、前年度の最適条件を基礎として、不純物を含有する環境下での検出性とそれに応じた条件の修正を行う。一方、不純物の影響を最小化するために、サンプルの前処理等改善法も同時に検討していく。最後に、確立したモニタリングシステムを用いて、廃グリースの連続メタン発酵処理実験において、脂肪酸蓄積傾向の危険察知の有効性を実証する。
今年度の研究概要
28年度は、実消化液サンプルに対して、昨年度のモデル溶液同様の定量的検出を可能とすることを第一の目標とする。その上で、連続運転中のバイオリアクターから採取した、様々な異なる脂肪酸濃度を有するサンプルを対象として検出を行い、その結果を整理した上で、運転状況と振動数変化率との間に有意な変化が認められ、異常検出システムとして役立つかどうかを検証することを最終目標とする。
外部との連携
兵庫県立大学
課題代表者
小林 拓朗
- 資源循環領域
資源循環基盤技術研究室 - 主幹研究員
- 博士 (工学)
- 土木工学,生物工学