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生体分子の界面光ラジカル酸化機構の解明(平成 28年度)
Elucidating the mechanism of radical oxidation of biomolecule at the air-water interface

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1516NA001
開始/終了年度
2015~2016年
キーワード(日本語)
毒性学,PM2.5,オゾン
キーワード(英語)
Toxicology, PM2.5, ozone

研究概要

オゾンやPM2.5を吸引すると肺の表面に非常に反応性の高い活性酸素であるヒドロキシルラジカル(OHラジカル)が発生する。ヒトの肺の上皮被覆液には界面活性タンパク質、脂質、抗酸化物質が含まれている。新規界面光ラジカル反応測定手法をヒトの肺の上皮被覆液に含まれる界面活性タンパク質のモデルペプチドとOHラジカルの界面反応へ応用する。OHラジカルによる界面活性タンパク質の変質メカニズムを明らかにする。また脂質などの生体分子のラジカルによる酸化機構も明らかにする。生体表面で起こる界面ラジカル酸化反応のメカニズムを解明することを目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

新規界面光ラジカル反応測定手法をヒトの肺の上皮被覆液に含まれる界面活性タンパク質とOHラジカルの界面反応へ応用する。本実験では水のマイクロジェットを疑似上皮被覆液とみなす。反応性ガスにはO3/H2Oを用いる。光源はYAGレーザーの4倍波266nmを用いる。ネブライザーによって水のマイクロジェットを発生させ、オゾンと水蒸気を含むガスを放射する。O3の266nm光分解によって生成する気相のO(1D)とH2Oの反応によってOHラジカルを発生させ、OHラジカルと気液界面に存在する界面活性タンパク質の気液界面反応をその場測定する。別のOHラジカル発生法としてOPOレーザーの213nmを用いてH2O2の光分解を行う。空気/マイクロジェットの気液界面でラジカル反応が起きた後、マイクロジェットはすぐにネブライザーガスによって分解し、マイクロメートル以下のサイズの微小液滴となり、最終的に気相にイオンを放出する。その過程でマイクロジェットの気液界面に存在する反応物・生成物のイオンが質量分析計で検出される。この研究によりオゾンやPM2.5を吸引したときに肺の表面に生成するOHラジカルによる界面活性タンパク質の変質メカニズムを明らかにする。また脂質などの生体分子のラジカルによる酸化機構も明らかにする。このように独自の界面光反応測定手法を用いることで、生体表面で起こる界面ラジカル酸化反応のメカニズムを明らかにする。

今年度の研究概要

気相のOHラジカルと液相の界面活性タンパク質のモデルペプチドであるSP-B(1-25)の不均一反応のメカニズムを質量分析計にYAGレーザーを加えた実験手法を用いて解明する。

外部との連携

カリフォルニア工科大学のMichael Hoffmann教授とA.J. Colussi博士と共同研究を行う。

関連する研究課題

課題代表者

江波 進一