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平成28年度農薬の環境影響調査業務(平成 28年度)
Research of environmental impacts of pesticides

予算区分
MA 委託請負
研究課題コード
1616MA002
開始/終了年度
2016~2016年
キーワード(日本語)
ネオニコチノイド,水田,トンボ,残留
キーワード(英語)
neonicotinoid, paddy field, dragon fly, residue

研究概要

トンボ類は日本の里山原風景を象徴する昆虫として一般にもなじみが深く、生態学的にも昆虫類の最上位捕食者に位置するキーストーン種でもある。本種は水域と陸域に十分な餌生物を有する生息域を必要とする昆虫であり、本種の生息状況は周辺環境の健全性を指し示す指標ともなり得るとされる。このように我が国の里山環境を考える上で重要なトンボ類であるが、近年、全国的に減少が指摘されており、その原因としてネオニコチノイド系農薬等の関与が疑われている。しかしながら、ネオニコチノイド系農薬等が広く用いられるようになる以前のトンボ類の生息状況を示す定量的で信頼の置けるデータは乏しく、またネオニコチノイド系農薬等がトンボに及ぼす毒性に関するデータも十分に揃ってはいない。
そこで本業務では、トンボ類への農薬による影響評価のための基礎データとして地域ごとのトンボ類の生息実態の把握に務めるとともに各種農薬の環境中における残留量を定量的に調査する。また各種農薬のトンボ等水生節足動物類(以下トンボ等と記述する)への毒性に関する科学的データの収集を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

ネオニコチノイド系農薬等及びその他の農薬のうち主要な農薬※1のトンボ等への毒性評価に関する知見の収集およびトンボ等への影響に関する考察
トンボ等生息実態調査、農薬残留実態調査、およびトンボ等への影響に関する考察
調査方法に係るマニュアル作成

今年度の研究概要

トンボ等に対する毒性データを収集するため、現在の農薬テストガイドライン(「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日付け12農産第8147号)等や「OECD GUIDELINE FOR THE TESTING OF CHEMICALS」)を基にした毒性試験を実施して、トンボ等の半数致死濃度もしくは半数影響濃度及び無影響濃度等の毒性値を算出するとともに、再現性の高い毒性試験方法を開発し、マニュアルにするとともに、農薬取締法テストガイドラインのユスリカ幼虫急性遊泳阻害試験を参考に概要を取りまとめる。収集・検討した毒性データから、我が国においてトンボ等へどのような影響が懸念されるか考察し、取りまとめる。
湖沼等12箇所程度において、トンボ等の生息状況を把握するため、農薬の検出が想定される時期と想定されない時期において、すくい取り法による底泥中のヤゴの捕獲、ラインセンサス見取り調査による成虫の種類の把握等の、トンボ生息実態に関するデータ取得を行う。
湖沼等12箇所程度において、水及び底質のネオニコチノイド系農薬等の濃度を把握するため、試料の採取を実施する。そして環境省が別途発注する「平成28年度農薬の湖沼等残留実態調査委託業務」の受託者に対し、採取した試料を送付する(試料採取に係る器具の調達と配布及び試料の送料は受託者が負担)。
調査時期は、農薬の検出が想定される時期と想定されない時期(各調査地域につき2回程度)とし、試料の採取の際の、水温、周辺環境や気象データの収集等その他必要な事項を記録する。
調査地点の周辺半径1km程度の土地利用環境、水路の状況(例えば、3面張り等)等の農薬以外でトンボ等の生態に影響を及ぼすおそれのある要因について現状を把握して整理する。
ネオニコチノイド系農薬等の残留・蓄積状況がトンボ等の生育状況に及ぼす影響の有無を把握することを目的として、上記で得られた各々のデータの因果関係について解析を行う。
実態調査」を各地の市民が実施することを想定して、継続的な実態調査の方法を調査地点の選定、調査の実施方法、結果の記録、結果の解析方法も含めてマニュアルとして取りまとめる。作成に当たっては、実際にトンボの保全活動を実施している市民グループ等にヒアリングを行い、手軽に利用可能なものとして作成する。

外部との連携

愛媛大学農学部 日鷹一雅准教授

課題代表者

五箇 公一

  • 生物・生態系環境研究センター
    生態リスク評価・対策研究室
  • 室長
  • 農学博士
  • 生物学,農学,化学
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担当者