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蓮田における水鳥の食物利用の実態解明:DNAバーコーディングに基づくアプローチ(平成 28年度)
Clarification of waterbirds

予算区分
AN 所内公募B
研究課題コード
1616AN005
開始/終了年度
2016~2016年
キーワード(日本語)
DNAバーコーディング,水鳥,食性
キーワード(英語)
DNA barcoding,Waterbird,Diet

研究概要

越冬地おける水鳥の多様性を保全する上で、農業被害の実態解明と防除は重要な課題である (Amano 2009)。しかし、観察の困難さから、科学的根拠に乏しい被害認識なされがちである。霞ヶ浦周辺の蓮田では、水鳥が蓮を採食する明確な根拠のないまま防鳥ネットが張られ、多数の水鳥が羅網して死亡し、関係者間の対立が生じている (渡辺 2012)。そこで、特定のDNA領域における塩基配列を解読して生物種を同定するDNAバーコーディングに着目した。本研究では、蓮田を利用する水鳥の将来的な採食環境の保全と食害問題の解決に役立てるため、水鳥の糞から鳥類種と食物を特定することで、蓮田における水鳥の食物利用の実態を解明することを目的とする。
 

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

霞ヶ浦周辺の蓮田に飛来する水鳥の糞を採取し、DNA塩基配列を解読することで鳥類種を特定する。また、糞に含まれる食物のDNA塩基配列を、次世代シーケンサーを用いて網羅的に解読する。得られた配列を、独自に作成した植物のDNAデータベースと照合することにより、食物を同定する。同定結果を基に、水鳥の食物構成を種、地域、季節ごとに明らかにする。

今年度の研究概要

1. 植物のDNAデータベースの作成
蓮田周辺の環境が異なる沖宿、繁昌、稲波干拓の調査地に生育し、水鳥が採食しうる植物を採取し、葉緑体DNAの塩基配列を解読する。得られた配列を平成27年度から作成中のデータベースに追加する。
2. 糞のゲノム解析とDNAバーコーディング
水鳥の越冬期とレンコンの収穫期が重なる11月から2月にかけて、水鳥の糞を採取し、DNAを抽出する。ミトコンドリアDNAの塩基配列を解読し、Web上のデータベースと照合することで鳥類種を同定する。次世代シーケンサーを用いて、糞に含まれる植物の葉緑体DNAの塩基配列を網羅的に解読し、1で作成したデータベースと照合することで食物を同定する。同定結果を基に、水鳥の食物構成を種、地域、季節ごとに比較する。

課題代表者

安藤 温子

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士 (農学)
  • 生物学,農学,林学
portrait

担当者