ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

排水処理リアクターの微生物生態系における食物連鎖の定量的評価(平成 28年度)
Quantitative evaluation of microbial food chain in wastewater treatment reactor

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1617CD006
開始/終了年度
2016~2017年
キーワード(日本語)
窒素安定同位体比,食物連鎖,排水処理,活性汚泥
キーワード(英語)
nitrogen stable isotope,food chain,wastewater treatment,activated sludge

研究概要

 生物学的排水処理法は、水質汚濁等を防止するための基盤的な技術であり、国内外を問わず広く普及している。本法は、微生物群集の機能を活用しており、栄養段階が異なる多様な微生物によって複雑な食物網が形成されている。この食物連鎖の中で、細菌等による有機物分解とともに、原生動物や後生動物の捕食効果により、処理水の清澄性向上や汚泥の減容化が進行する。そのため、微生物の摂餌関係や食物連鎖の解明し、処理機構の理解を深めることは、処理性能の向上や安定化に寄与すると考えられる。そこで本研究では、窒素安定同位体の自然存在比に着目し、捕食に伴う同位体分別効果を利用して、微生物食物連鎖の機能(捕食効果)の定量的評価を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

 本研究では、代表的な生物学的排水処理法である活性汚泥に関して、被食−捕食が進行する条件で運転制御して、汚泥濃度の減少と炭素・窒素安定同位体比の変化に関するデータを得る。この結果から、食物連鎖による捕食作用の進行に伴う汚泥分解と、安定同位体比の関係を解析する。また、様々な運転条件下における活性汚泥の窒素安定同位体比を測定することで、運転因子が安定同位体比に及ぼす影響評価を行う。これにより、食物連鎖の定量化のための安定同位体比の指標化を行う。さらに、実際の活性汚泥法等に本手法を適用し、処理方式や運転条件が異なる環境下における窒素安定同位体比の比較を行う。また、適切な運転管理と制御のための適切な運転条件を探るために適用する。

今年度の研究概要

 初年度は、生物学的排水処理法における食物連鎖に対して、炭素・窒素安定同位体比における指標の有効性に関して評価する。具体的には、代表的な生物学的排水処理法である活性汚泥を用いて、食物連鎖における捕食作用が進行する条件として運転制御し、炭素・窒素安定同位体比を測定する。活性汚泥は、容量、MLSS、MLVSS、CODを測定し、飢餓条件における汚泥量の変化を把握する。活性汚泥における汚泥分解の進行と、安定同位体比を比較することで、食物連鎖の進行に関する定量的なデータを得る。同時に、微生物生態系を構成する細菌、原生動物、後生動物を把握する。この結果に基づき、炭素・窒素安定同位体比を用いて、活性汚泥における食物連鎖を定量的に評価するための指標化を進める。

課題代表者

小野寺 崇

  • 地域環境保全領域
    環境管理技術研究室
  • 主任研究員
  • 博士(工学)
  • 土木工学
portrait