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熱帯樹木はなぜ塩化メチルを大量に放出するのか:水利用特性との関係解明(平成 28年度)
Why certain tropical trees emit methyl chloride?

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1416CD029
開始/終了年度
2014~2016年
キーワード(日本語)
オゾン破壊物質
キーワード(英語)
ozone depleting substances

研究概要

熱帯植物は、主要な成層圏オゾン破壊物質である塩化メチルを大気へと放出する最大の発生源として働いている。しかし、なぜ温帯や寒帯ではなく熱帯の植物からの放出量が際立って多いのかは明らかにされていない。本研究では、激しい蒸散を行う熱帯樹木は、水と共に大量の塩化物イオンを取り込むため塩化メチル放出量が多い、という仮説を、植物葉群による塩化メチル放出量と水利用特性との関係から検証することを目的とする。これにより塩化メチル放出の支配要因を明らかにし、気候変動に伴う熱帯林の乾燥化が塩化メチルの放出量に今後どう影響するのかを知るために不可欠な知見を得る。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

フタバガキ科樹木など東南アジア熱帯林の主要樹種約 10 種を対象に以下の観測を実施する。
? 植物葉群による塩化メチル放出量を測定し、種や個体による違いを把握する。
? 樹液の流量を測定し、単木スケールでの吸水量(=単木スケールの蒸散量)を算出する。この
結果を基に葉面積当たりの平均蒸散量を推定する。
? 樹液(あるいは土壌水)中の塩化物イオン濃度を測定し、?の結果と組み合わせることにより、
植物による塩素の取り込み量を推定する。
これらの観測結果から、塩化メチル放出量と植物の水利用特性及び塩素取り込み量との対応関係
を導出し、塩化メチル放出の支配要因を明らかにする。

今年度の研究概要

東南アジア熱帯雨林において樹液流の観測体制を整備し、観測を開始する。予備調査において群を抜いて大きい塩化メチル放出量が見られたShorea beccariana、次いで放出量の大きかったDryobalanops aromatica、ほとんど放出の見られなかったDipterocarpus globosusなどのフタバガキ科樹木を中心に樹液流の観測と塩化メチル放出量の観測を実施する。なお、本観測はマレーシア・サラワク州のランビルヒルズ国立公園において主に実施するが、同様なフタバガキ科樹木が優占する半島マレーシアのパソ森林保護区においても塩化メチル放出樹種を対象とした観測を行う。

外部との連携

台湾大学、九州大学、名古屋大学

関連する研究課題

課題代表者

斉藤 拓也

  • 地球システム領域
  • 主幹研究員
  • 博士(地球環境科学)
  • 化学
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