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化学物質の包括的モニタリングを可能にする質量分析法の応用に関する研究(平成 29年度)
Study on application of the mass spectrometry to enable the comprehensive monitoring of the chemical substances

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1717CD002
開始/終了年度
2017~2017年
キーワード(日本語)
環境モニタリング,質量分析,ノンターゲット分析,環境リスク
キーワード(英語)
environmental monitoring, mass spectrometry, non-targeted analysis, environmental risk

研究概要

本研究では、ガスクロマトグラフ-高分解能飛行時間型質量分析計を活用した高精度な網羅的分析法を応用し、物質組成や量の変化を迅速・高感度に検出・識別できる環境中化学物質の包括的モニタリングの実現と普及のため、手法の開発と改良、課題の解決・回避法の提案を行う。また、本手法の好例を示すべく、モデル地域における大気および河川水の高頻度時系列モニタリングにより、基準監視だけでは見逃している多様な化学物質組成の変化の捕捉と主要物質の同定を行うことを目的とし、安全安心な社会の実現のための科学技術の社会実装を目指す。
本研究では、環境中化学物質の包括的モニタリング法の実現のため、手法の開発と改良、問題の解決・回避法の提案を行い、開発した手法の利点を活用した好例を示すべく、モデル地域における大気および河川水の高頻度時系列モニタリングにより、基準監視だけでは見逃している多様な化学物質組成の変化の捕捉と主要物質の同定を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究は、包括的環境化学物質モニタリングの実用に向けた技術の改良・最適化、普及法の検討とモデル地域におけるケーススタディによって構成される。すなわち?包括的モニタリングに適したサンプリング法の開発と改良、?各種GC-MSによるモニタリング試料の網羅的分析、?差異検出と特徴抽出のための精密質量測定データ解析法の開発、?各種測定情報を統合した物質検索と未知物質の同定、?各モニタリング地点における化学物質全体像の把握と手法の評価 を産官学の研究体制で実施する計画である。
最終的には、開発した先端的手法の既存手法(装置)への移転・移植も図り、それらの比較検証による開発手法と既存手法の有効性と限界をそれぞれに対し明確にする。

今年度の研究概要

包括的モニタリングに適したサンプリング法の開発と改良:サンプリング大気については、吸着材(Tenax-TA)を充填した加熱脱着装置(TDU)用捕集管によるミニポンプ捕集(計画量3-10m3)、水質については、スターバー(吸着材:ポリジメチルシロキサン)吸着(計画量50-500ml)を用いた高頻度サンプリング法を開発・改良する。
各種GC-MSによるモニタリング試料の網羅的分析:揮発性〜半揮発性で無極性〜微極性物質について、TDUを備えたGCxGC-TofMSにより吸着管あるいはスターバーの直接測定を実施する。同時に、包括的モニタリングへの利用の可能性と限界を調べるため、環境分野でも導入が進みつつあるGC-TofMSやLC用TofMSによる測定も行う。
差異検出と特徴抽出のための精密質量測定データ解析法の開発:データの前処理法として、測定データの相互比較に不可欠なGCxGCの保持時間合わせとGCのピークデコンボリューションを精密質量データで可能にするソフトウェアを作成する。保持時間合わせとデコンボリューション処理の後、非負値因子分解(NMF)法を応用した精密質量スペクトルに基づいた差異検出と特徴抽出法を開発する。

外部との連携

産業技術総合研究所、統計数理研究所、公立鳥取環境大学、埼玉県環境科学国際センター、大阪市環境科学研究所

課題代表者

橋本 俊次

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 室長(研究)
  • 学術博士
  • 農学,化学
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担当者