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生態系機能・サービスの評価と持続的利用(平成 31年度)
Evaluation of Ecosystem Functions and Services and their Sustainable Use

予算区分
AA 課題解決型
研究課題コード
1620AA035
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
生態系機能,生態系サービス
キーワード(英語)
ecosystem function,ecosystem service

研究概要

ミレニアム生態系評価以降、生態系と生物多様性の経済学(TEEB)の取り組み、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の設立、Future Earthの始動等、生態系サービスの自然的・社会経済的価値の評価と、相互に関係しあう生態系サービスの包括的管理の重要性が高まっている。
地域(流域や島嶼)を単位とし、その生態系の持続性とともに、地域で生じる時空間的な生態系サービス間の関係(トレードオフやシナジー)を分析し、多様な生態系サービスの持続的利用を目指した自然共生型流域及び地域管理策を提案する。

今年度の研究概要

森川里海の観点から、霞ヶ浦・琵琶湖流域、小笠原諸島等の地域や流域を対象として環境DNAや現地調査・モニタリングに基づく生物多様性と生態系機能・サービスの評価を行った。

これまでの生態系サービス間の分析によって、霞ヶ浦流域では農業生産と水質の間にトレードオフが生じていること、その中でも農業生産と水質がWin-Winとなっている流域が少数存在することを明らかにした。本年度は、その流域の特徴を詳細に明らかにし、トレードオフを緩和できる手法について検討した。また、環境DNAを用いた魚類モニタリング手法の改良ならびに魚類群集の多様性パターン等について解析を行った。

小笠原諸島では、引き続き現地調査を行って希少種サンプルの収集・保存を行うとともに生態系構成種の経時変化を追跡した。観光客や事業者の動向等に着目し、生態系サービスの定量的評価に必要なデータや資料の収集・整備を引き続き拡充するとともに、予備的なアンケート調査やヒアリング、行政文書の解析を行った。また、生態系モデルの高度化を行うとともに、シミュレーションを行って生態系の脆弱な部分の探索を進めた。

他の対象流域においては、回遊性魚類や汽水性生物といった生物の分布情報の収集、微量元素や有機物といった水土壌環境の指標選定を行い、水界間の連結性の評価を開始した。生物回遊や汽水域形成の阻害要因となる生息地の改変履歴や貯水ダムおよび河口堰の影響に注目し、水資源・防災・水産資源といった生態系サービスと生物多様性との相互関係についての情報を整備した。

外部との連携

大澤剛士(農業環境技術研究所)、苅部治紀(神奈川県立生命の星・地球博物館)

課題代表者

山野 博哉

  • 生物多様性領域
  • 領域長
  • 博士(理学)
  • 地理学,地学,理学
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担当者