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エアロゾルと塩素原子の不均一反応の研究(平成 31年度)
Heterogeneous reactions of aerosol with chlorine-atoms

予算区分
AN 所内公募B
研究課題コード
1920AN001
開始/終了年度
2019~2020年
キーワード(日本語)
エアロゾル,ハロゲン,不均一反応
キーワード(英語)
aerosol, halogen, heterogeneous reaction

研究概要

新規質量分析法とレーザー分解法を応用した実験手法を用いて、エアロゾルと塩素原子(Cl)の不均一反応のメカニズムを解明する。ネブライザーを用いて、液体のエアロゾルを発生させる。塩素ガス(Cl2)に355nmのパルスレーザー光を照射することで、気体のClを発生させ、エアロゾルの気液界面において不均一反応を起こす。気液界面に生成する成分を質量分析計で検出することで、その反応機構を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

新規質量分析法とレーザー分解法を組み合わせた実験手法を用いて、エアロゾルと塩素原子の不均一反応のメカニズムを解明する。ネブライザーを用いて、チャンバー内に液体のエアロゾルを発生させる。その垂直方向から塩素ガス(Cl2)を吹き付け、同時にYAGレーザーの3倍波である355nmのパルスレーザー光を照射し、気体の塩素原子(Cl)を発生させる。Clと液体のエアロゾルの成分が気液界面において不均一反応を起こす。気液界面に生成する成分を質量分析計で検出することで、その反応機構を明らかにする。1年目は、海洋起源エアロゾルをターゲットにして、液体エアロゾルの成分としてジメチルスルホキシド、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムを用いる。2年目は、人為起源エアロゾルをターゲットにして、液体エアロゾルの成分として安息香酸を用いる。本提案研究が完成すると塩素原子による自然起源・人為起源エアロゾルの不均一酸化過程が初めて明らかになり、大気モデルへの取り込みなどの大きな成果が見込まれる。

今年度の研究概要

今年度は、海洋起源エアロゾルをターゲットにして、液体のエアロゾルの成分としてジメチルスルホキシド(DMSO)、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムを用いる。DMSOは海洋上の植物プランクトンから放出されるジメチルスルフィド(DMS)が大気中で酸化されることで生成し、その大部分が水溶性のエアロゾルに取り込まれる。液体のDMSOは塩素原子の不均一反応によって硫酸やメタンスルホン酸に変換されていくことが予想される。これらの酸は雲の凝結核となる重要な化合物であり、その生成ルートを詳細に解明できれば、将来の気候変動予測や海洋エアロゾルの環境動態の理解に大きく貢献できる。

関連する研究課題

課題代表者

江波 進一