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胎児期から乳児期の乳歯による経時的有害元素の曝露評価とその影響の臨界期特定(平成 31年度)
Determination of prenatal and postnatal exposure to toxic and trace elements using
deciduous teeth and the identification of critical windows of their effects

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1820CD020
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
乳歯,元素
キーワード(英語)
deciduous teeth,element

研究概要

胎児期から乳児期の重金属曝露や必須微量元素の欠如と精神神経発達に対する影響との関連について多くの報告があるものの、 どの時点にどの量の曝露や欠如が起きることが、精神神経発達に大きく影響するかについては、学術的に明らかにされていない 。近年、乳歯を用いて胎児期から乳児期までについて、経時的かつ包括的に複数の元素の変遷や母乳の摂取期間を評価し、子どもへの影響時期(臨界期, Critical window)ついて報告し、本分野の技術的かつ研究的革新があった。 そこで、本研究では1)乳歯の元素分析のハイスループット分析法の確立を行い、乳歯を用いて母乳摂取期間を定量的に算出し 、胎児期から乳児期までの必須元素等の栄養状態及び重金属の曝露実態とその曝露モデルの外挿を視野に入れるとともに、2)子どもに対する影響時期(臨界期)明らかにすることを目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

現在、10万人規模の出生コホート調査「子どもの環境と健康に関する全国調査(エコチル調査)」が実施されている。その中で脱落乳歯の収集が進められている。
本研究では、2018年度より1)膨大な乳歯の分析を実施できるようにハイスループット分析法の確立を進める。分析対象元素としては、精神神経発達への影響が報告されている鉛、カドミウム、マンガンおよび必須微量元素の亜鉛、銅とする 。Arora教授には、分析に供するための乳歯の前処理、レーザーアブレーションICP質量分析(LA-ICPMS)条件を含めハイスループット分析法の確立を共同して行うとともに、外部精度管理について協力し、国内での継続的な分析精度を確保する。1)が確立したのち、2019年度より2)乳歯を用いた母乳摂取期間の定量に関する研究を進める。LA-ICPMSにより、バリウム、カルシウム、鉄、ストロンチウムを対象とした分析を実施する。これにより、複数の元素を包括的かつ経時的な評価を行い、精神神経発達などへの影響時期(臨界期)を明らかにする。

今年度の研究概要

2019年度は、2018年度に引き続き、乳歯の収集および膨大な乳歯試料の分析を実施できるようハイスループット分析法の確立を進める。さらに、乳歯分析の精度管理、定量化方法について検討を進める。乳歯の収集は、本年度より開始し、1-2 年を目処に完了する予定である。乳歯の分析対象元素としては、精神神経発達への影響が報告されている鉛、カドミウム、マン ガンおよび必須微量元素の亜鉛、銅とする。最先端の乳歯分析技術を持つマウントサイナイ医科大学のArora教授のもと、分析 に供するための乳歯の前処理、レーザーアブレーションICP質量分析(LA-ICPMS)の習得を目的とした米国への渡航を予定する。Arora教授と日本国内での分析法の確立を共同して行うとともに、外部精度管理についても協力し、国内での継続的な分 析精度を確保する。乳歯、血液及び母乳中の元素データとの関連を確認するとともに、バリウム/カルシウムの変遷と新生線( 出生時の目安となる)との関係から、母乳摂取期間推定に関する研究を開始する。

外部との連携

仲井 邦彦, 東北大学・医学系研究科・教授.
Manish Arora (アローラ マニッシュ), Department of Environmental Medicine and Public Health, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, USA (マウントサイナイ医科大学 環境医学・公衆衛生学分野,アメリカ合衆国), Professor(教授).

課題代表者

岩井 美幸

  • 環境リスク・健康領域
    曝露動態研究室
  • 主任研究員
  • 博士(医学)
  • 薬学,医学,生化学
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担当者